バルセロナで飛躍した世界最高峰のストライカー

世界的スターだ。サッカーファンなら誰もが知る存在なのがブラジル代表であり、パリ・サンジェルマン所属の背番号10番、ネイマールだ。

2003年にブラジルのサントス・ユースに加入すると、2008年2月10日に17歳という若さでプロ契約を結んだ。早くから将来を嘱望されていたストライカーは、デビュー戦となったサンパウロ州選手権のオエステ戦で、素晴らしいテクニックを披露。代名詞でもある高速シザースを駆使して攻撃を牽引し、チームを逆転勝利に導いた。さらに翌節のモジミリン戦ではプロ初ゴール。この試合を観戦していた“サッカーの神様”ペレ氏は試合後「私を超える潜在能力を持っている」とネイマールを評価したと言われている。 

さらに2011年に行われたコパ・リベルタドーレス決勝戦のペニャロール戦でも大活躍。アウェイで行われた第1戦は0-0の引き分けに終わるも、ホームでの第2戦では47分に先制ゴールを奪う。最終的に2-1でサントスが勝利し、1963年大会以来となる3度目のコパ・リベルタドーレス制覇を達成した。ネイマール自身は6ゴールを奪う活躍で、チームの優勝に大きく貢献した。

そういった活躍が認められると、2013年5月26日に世界的名門クラブであるバルセロナへと移籍。背番号はサントス時代と同じく11番を背負うことになった。

初挑戦となる欧州でのプレーに注目が集まったが、すぐに結果を残す。同年8月21日のスーペルコパ・デ・エスパーニャのアトレティコ・マドリード戦で、チームを優勝に導くアウェイゴールを決めた。さらに10月26日には、自身初のエル・クラシコに出場。1ゴール1アシストを記録し、レアル・マドリードを相手に2-1の勝利に貢献した。12月11日のチャンピオンズリーググループステージのセルティック戦では、移籍後初のハットトリックを達成。初年度から圧倒的なパフォーマンスを見せたのだ。

2014-15シーズンは、南米トリデンテ“MSLトリオ”として活躍。アルゼンチン代表のメッシ、ウルグアイ代表のルイス・スアレスと3トップを組み、公式戦で39ゴールをマーク。3トップとしてはスペイン史上最多となる公式戦ゴール数122ゴールを記録した。さらにチャンピオンズリーグ(CL)でも決勝のユヴェントス戦でゴールを奪いビッグイヤー獲得に貢献。ラ・リーガ、コパ・デル・レイ、CLの三冠を達成すると共に、自身はCLの得点王を獲得した。

しかしそういった蜜月も長くは続かず、2017年8月3日にパリ・サンジェルマンへの移籍が発表された。新天地では背番号10番を背負うと、2017年8月12日のギャンガン戦でリーグデビュー、同試合で1ゴール1アシストを記録するなど早速結果を残し、このシーズンは公式戦30試合の出場で28ゴールを挙げた。

2019-20シーズンはケガや開幕後まで移籍話があったことも影響し、試合中にブーイングを浴びる機会が増えた。最終的にはリーグ戦15試合の出場にとどまるなど苦しい時期を過ごしてている。しかし現在は、メッシ、エムバペと共に形成する強力3トップに欠かせない存在であることを示し、パリ・サンジェルマンの攻撃陣をけん引している。

ネイマールの凄さはドリブルだけではない

ウイングやトップ下など、攻撃的なポジションであればどこでも力を発揮できるネイマール。彼の特徴は大きく2つ。1つは圧倒的なドリブルスキルだ。南米選手特有の独特なリズム、シザースやヒールリフトなど多彩な足技など人々を魅了するプレーは、ブラジル代表のレジェンドであるロナウジーニョを彷彿とさせる。

さらにネイマールはスピードを生かした突破力も武器。相手選手がフェイントを警戒して間合いを取ると、逆にスピードで一気にぶち抜いてしまう。守る側からすると、これほどまでに嫌な選手はいないだろう。

そしてネイマールの特徴の2つ目は、パス精度の高さだ。長短を織り交ぜた精度の高いパスで決定的なチャンスを演出することもできる。パリ・サンジェルマンではメッシ、エムバペと共に3トップを形成して攻撃を牽引。中でもネイマールはストライカーとしてゴールを奪うだけでなく、ゴールに直結するパスでもチームを支えているのだ。

ドリブル、パス、シュートとどれも高次元でプレーすることができ、個の力で打開するこができる。攻撃面で違いを作れる世界最高峰レベルのアタッカーだ。

18歳から築き上げてきたブラジル代表でのキャリア

ネイマールが初めてセレソンのユニフォームに袖を通したのは2010年8月。南アフリカ・ワールドカップ後に行われた、ブラジル代表の最初の試合となったアメリカ戦だ。当時18歳だったネイマールは、この試合で代表デビューを果たすだけではなく、先制点となる代表初ゴールを挙げた。

その後も活躍を続けるネイマールは、2011年1月に開催された南米ユース選手権で9得点を挙げて得点王に輝き、チームの優勝に貢献。2012年のロンドンオリンピックでは、全7試合に出場して4得点を挙げるなど結果を残す。しかしチームは、決勝でメキシコに敗れて銀メダルに終わった。

その雪辱を晴らすべく、2016年に行われたリオデジャネイロオリンピックではオーバーエイジ枠で参加。ドイツとの決勝戦では先制点をマークするなど、母国開催のオリンピックで初優勝に大きく貢献した。なお、準決勝のホンジュラス戦では、オリンピック史上最速となる15秒弾を決めている。

2018 FIFAワールドカップロシアの最終メンバーにも選ばれたネイマールは、グループリーグ第2戦のコスタリカ戦で1ゴール、決勝トーナメント1回戦メキシコ戦では1ゴール1アシストを奪う。しかし、準々決勝でベルギーに敗れて敗退となった。

ここまで数々のゴールを挙げてきたネイマールは、2022 FIFAワールドカップ・南米予選第2節のペルー戦でハットトリックを達成。通算得点数を64に伸ばし、レジェンド・ロナウド氏がもつ62を超えて歴代2位となった。

セレソンの10番を背負い左ウイングとして活躍するネイマール。30歳と脂の乗った年齢で迎える今大会。数々のタイトルを獲得してきたネイマールだが、未だにワールドカップのタイトルは獲れていない。南米予選を圧倒的な強さで突破したブラジルがネイマールと共に悲願のタイトルを目指す。

文・渡邉知晃

写真:アフロ

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