元日本代表コーチの山本昌邦氏が、10月28日に公開された元日本代表MFの鈴木啓太氏のYouTubeチャンネルにゲスト出演。フィリップ・トルシエ氏が指揮官を務めた1999年から02年の日韓ワールドカップ(W杯)までを振り返った。
山本氏は、A代表に加えU—20代表と五輪代表の監督も兼任し、ワールドユース(現U—20W杯)準優勝、シドニー五輪ベスト8などの結果を残したトルシエ氏について「マネジメント力はすごい」「自分が育てて強いチームを作る」と称えた。
また、鈴木氏が高校生の頃に出た大会にトルシエ氏が視察に来ていたと紹介すると、山本氏は「日本の若い奴らはすげーな」がフランス人指揮官の口癖だったと回顧。さらに、トルシエ氏は全国高校サッカー選手権を見て「何だ、この大会は?こんなの世界中にないぞ」と驚き、当時の現役日本代表選手よりもはるかに上手いと評価していたと明かした。
そんなトルシエ氏が五輪代表を率いて臨んだ2000年のシドニー五輪では、準々決勝でアメリカにPK戦の末、敗退した。鈴木氏に敗因を問われると、山本氏は日本が相手国を強く見る傾向があった中で、アメリカは「日本の良さを、それ以上に相手が消して」きたと振り返る。そして、世界大会での決勝トーナメント初戦の難しさについてこう語る。
「違う大会だと思ったほうがいいくらい、まずは負けない戦い方をしてくる。そこを乗り越えてくると勢いに乗る。リーグ戦だと取り返せるけど、一発勝負だから先制点の重みがすごく大きくなってくる」
その意味で、「セットプレーが鍵なのかな」と指摘。鈴木氏は「これはめっちゃおもしろい。そういうことなんだ」と話している。
そして、迎えた日韓W杯で日本代表は、グループステージを2勝1分で初めて突破する。続く決勝トーナメント初戦のトルコ戦で、トルシエジャパンはスタメンを大幅に変更した。
メンバーを代えたのはFW柳沢敦の故障と、事前の分析が理由だったが、トルコは「全然違うことをやってきた」。具体的にはトルコの右SBが「“超攻撃的”で高い位置を取ってくる」という分析から三都主アレサンドロを起用したが、相手の右SBは「全く上がってこなかった」という。
「読み違い」があった日本は12分にCKから先制される。三都主の直接FKがゴールバーに直撃するなど惜しい場面もあったが、そのまま0-1で敗れた。
山本氏は「決勝トーナメントに行くと、セットプレーの先制点が重くのしかかってきた」と振り返った。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
【動画】“超攻撃的”なはずのトルコの右SBが…トルシエを支えた山本昌邦が日韓W杯敗退理由を語る