カタール・ワールドカップに臨む日本代表のメンバー26人が発表された。ほとんどサプライズはなくて、これまで森保監督が起用してきた顔触れになった。

 メンバー構成を見ると、ゴールキーパーを含めたディフェンス陣がベテラン中心で、攻撃的なポジションは若手が多く選ばれている。ワールドカップ初出場の選手も多く、フレッシュな印象だ。

 若くて運動量とスピードがあって、守りもしっかりできる選手を前線に置いて、攻撃ではカウンターを狙うと思われる。前でのプレスが上手くいかなくても、真ん中より後ろでボールを奪ってから、長い距離のカウンターで攻める。イメージとしては6月のブラジル戦のような戦い方だ。通用するかは別として、森保監督が描いているサッカーが見えてきたね。

 大迫が外れたけど、2月を最後に代表に入っていない。選ばれればサプライズだと思っていたよ。ドイツやスペインが相手になるワールドカップでは、アジアの国の相手と違ってポストプレーは難しい。大迫がボールを収められたとしても、孤立する可能性が高い。

 FWでは、セルティックで活躍する古橋も選ばれなかった。フィジカル面が理由ではないかな。守る際の身体の強さで、前田や上田のほうが今回のサッカーに当てはまると考えたのではないか。攻撃では古橋のほうが優れているかもしれないが、浅野も含めて守りの強さが選考基準のポイントだったと思う。
 
 また、原口が外れたのは、相馬との比較だったのではないだろうか。相馬は守りがけっこう上手いし、体力やプレスの質で高く評価されたはずだ。原口は複数ポジションをこなせるし、チームはドイツリーグでトップを走っている。ただ、“ユーティリティ選手”というのは必要な時にチームを助けるけど、絶対的なレギュラーではないとも言える。

 本番では、ドイツにもスペインにも負けるわけにはいかない。相手を優勝経験国だと強調して「負けても仕方ない」というのは違う。グループステージを勝ち抜けなかったら、12月1日で2022年が終わってしまう。それは寂しいよ。

 怪我をしている選手がいるのは気がかりだけど、本番では26人全員が万全になってほしいね。元気に走り回れる、相手より体力を使っても頑張れるようなサッカーに期待したい。

【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、77歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。

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