カタール・ワールドカップに臨む日本代表のメンバーが発表された。26人の顔触れを見ると、非常にバランスが取れているし、いろんな戦術に対応できると思う。個々のコンディションが万全なら、かなり強いんじゃないかな。

 このなかからスタメン11人を選ぶなら、まずGKはシュミット。現代表での実績や経験を考えれば権田の可能性が高いし、レギュラーであってもまったく疑問はない。ただ個人的には、高さとキックの上手さを買って、シュミットを推したい。

 システムは4-2-3-1で、4バックは右から酒井、吉田、冨安、長友。吉田に関しては、所属クラブのシャルケが低迷していて、本人のパフォーマンスを不安視する声も聞こえてくる。

 シャルケはラインをわりと高く設定して、たしかに裏を取られるシーンが目立つかもしれない。でもワールドカップでは、ドイツやスペインを相手に劣勢の時間が長くなるはずで、ラインをそこまで“上げられない”。つまり、裏への心配は減るし、ペナルティエリア付近での勝負になる。

 こうなると、吉田の強さや高さ、経験は絶対に必要。クラブでの出来を、そのまま代表に置き換えるのはナンセンス。守備陣の要として、吉田は欠かせない存在だ。

 冨安には的確なカバーリングと効果的な縦パスを期待。同じようなプレーでは、板倉もかなり良質な働きを見せてくれるだろうね。

 両サイドバックの2人には、とにかく1対1の強さを求めたい。今回の森保ジャパンでは、カギを握るポジションだと思う。酒井も長友も実力は申し分ないし、簡単に抜かれるようなこともない。

 強豪国が相手でも、耐えられる頑丈さ、撥ね返す力がある。攻撃が物足りなくなったとしても、まずは守備に専念。ここが崩れなければ、相手も焦れてきて、チャンスも出てくるような気がする。
 
 同様に重要な役割を担うのが、ダブルボランチだ。繰り返しになるけど、ワールドカップでは日本がペースを握る時間帯は限られていると思う。攻め込まれる展開で、どれだけ辛抱強く身体を張って、守り抜けるか。

 遠藤と守田のコンビは、その点で頼りになる2人だ。非凡なボール奪取力で、ピンチの芽をことごとく摘む。彼らの出来がチームの命運を左右すると言っても過言ではない。

 2列目は、右の伊東がサイドに張りながら、“矢”のように敵陣を切り裂く。逆に左の久保はトップ下の鎌田と上手く連動しながら、自在な動きで相手をかく乱する。

 センターフォワードは前田。尋常じゃない速さで猛烈なプレスをかけ、敵のビルドアップをけん制してほしい。前線でキープしたり、ボールを収めて起点を作るようなタイプではないかもしれないけど、まったく問題ない。

 自慢のスピードでサイドに流れたり、裏を狙ったりして、味方にスペースを作る。そこを鎌田や久保が使えばいいだけ。彼らが前向きでボールを受けられれば、より攻撃の威力は増すはずだ。

 ジョーカーには三笘や相馬がスタンバイ。1点を守り切る展開なら、3バックに対応できて高さもある伊藤が控える。様々なシチュエーションで、森保監督がどんな采配を振るうか楽しみだね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、50歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを観戦&研究する日々を過ごす。

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