11月20日に幕を開けるカタール・ワールドカップ。4年に一度の大舞台では、どんな戦いが繰り広げられるか。本稿ではグループごとに出場国の横顔を紹介し、決勝トーナメント進出に向けた争いを展望する。今回はグループHだ。
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■ポルトガル
(6大会連続8回目の出場)
前回大会はラウンド・オブ16で、ウルグアイに敗れて大会を後にした。
37歳のクリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・U)にとっても集大成のW杯になる可能性が高いが、躍進のためにはまだまだ大エースが鍵を握るだろう。4-2-3-1の2列目はブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・U)、ベルナルド・シウバ(マンチェスター・C)など、世界に誇る陣容だ。
ディオゴ・ジョッタ(リバプール)の負傷欠場が確定しており、23歳のラファエウ・レオン(ミラン)のブレイクに期待がかかる。さらに右SBの俊英ディオゴ・ダロ(マンチェスター・U)など、ヤングパワーとの融合がポイントだ。
■ガーナ
(2大会ぶり4回目の出場)
アフリカ最強のライバルであるナイジェリアをアウェーゴールの差で破って、2大会ぶりの出場を決めた。
ややパンチ力が心配された前線には、スペイン代表経験もある長身FWイニャキ・ウィリアムス(アスレティック)が祖国のためにプレーすることを決断。新エースとして期待がかかる。
9月のブラジル戦において、試合前の練習で負傷した中盤の大黒柱トーマス・パーティ(アーセナル)がプレミアリーグで戦線復帰し、本大会に目処が立った。オットー・アッド監督は4-2-3-1をベースに、4-1-4-1、オプションとして5バックも組み込んでいるが、UAEで行なわれるスイスとの強化試合をステップに、どういう布陣をポルトガルとの初戦でぶつけてくるか、プランニングしてくるはずだ。
■ウルグアイ
(4大会連続14回目の出場)
15年続いたオスカル・タバレス体制が終わり、ディエゴ・アロンソ監督のもとでリスタートしたが、母国に戻ったルイス・スアレス(ナシオナル)やエディンソン・カバーニ(バレンシア)など、経験豊富なベテランの存在はまだまだ欠かせない。
しかしながら、前線ではスピードとパワーを兼ね備えたダルウィン・ヌニェス(リバプール)が台頭。中盤はバルセロナとのエル・クラシコでスーペルゴラッソを決めるなど、ワールドクラスのMFに成長したフェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリー)、デュエルの強度と抜群の展開力を持つロドリゴ・ベンタンクール(トッテナム)など、気鋭のタレントが充実している。
新旧の年齢幅が非常に大きなチームだが、スアレスを中心にチーム一丸でまとまっていけば、前回のベスト8を上回る成績も可能なポテンシャルは備えている。指揮官の采配にかかるところも大きそうだ。
■韓国
(10大会連続11回目の出場)
ポルトガル人のパウロ・ベント監督のもと、3大会ぶりにグループステージ突破が期待されている。ただ、ショッキングなニュースがエースのソン・フンミン(トッテナム)の負傷だ。
チャンピオンズリーグのマルセイユ戦で相手と接触し、顔面を骨折。絶望的ではないが、フェイスガードを付けて復帰したとしても、フルで能力を発揮できるかは難しいところだ。
4-3-3をベースに、後ろから可変しながら、丁寧にビルドアップする攻撃を指揮官は植え付けてきたが、最後の決め手は欧州組を中心とした迫力ある仕掛けだ。ファン・ヒチャン(ウォルバーハンプトン)やファン・ウィジョ(オリンピアコス)といった強力なアタッカーは頼もしい。もっとも、ソン・フンミンの代わりはいない。仮に初戦のウルグアイ戦から出られないようだと、再構築を迫られる。
【グループH展望】
チーム力を素直に評価すればポルトガルが本命となるが、何しろ前回大会のラウンド・オブ16でウルグアイがポルトガルを破っており、直接対決では分が良い。タバレス体制をアロンソ監督が引き継ぎ、センターラインの主力が健在で、ヤングスターがオプションに加わったウルグアイは自信を持ってポルトガルに挑むだろう。
逆にポルトガルとしてはリベンジの格好の機会で、ウルグアイに勝利できれば、悲願のW杯初優勝に向けて波に乗ることができる。両国の激突は2試合目で、初戦でポルトガルはガーナ、ウルグアイは韓国という簡単ではない相手から勝点3を奪って、グループステージ屈指のビッグマッチに臨めるか。
チームのポテンシャルを考えれば、韓国とガーナにも“二強”の一角を崩すチャンスは十分にある。ただ、ウィリアムスが加わったガーナと、ソン・フンミンの負傷で危急の状態にある韓国では、前者のほうが勢いよく大会に入っていけるかもしれない。
韓国は23歳のFWチョ・ヨンウクなどヤングパワーのブレイクに期待しつつも、エースの奇跡的な完全復活が待たれる。
文●河治良幸
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