集大成の時が迫る

2022年のワールドカップへ、開催国カタール代表への視線が変わり始めたのは間違いなくアジアカップ2019だろう。

グループステージから全勝で頂点へと駆け上がった戦いはカタールの可能性を感じさせるもので、決勝では日本代表も1-3で敗れてしまった。しかもこの大会でカタールが喫した失点はこの日本戦の1点だけだ。

攻撃を引っ張ったのは、19歳と11カ月でA代表デビューを飾ったFWアルモエズ・アリと、18歳と9カ月で代表デビューしたアクラム・アフィーフだ。

アフィーフが自由にポジションを動かすのに対し、アリは前線にどっしりと構えていることが多い。アジアカップ決勝での日本はアフィーフの動きを捕まえ切れず、アリには見事なバイシクルシュートを決められてしまった。アフィーフは25歳、アリは26歳と中堅世代を迎え、今大会は2人にとって1つの集大成となるだろう。

基本は3バックを軸とし、代表83戦24ゴールのアフィーフと82戦39ゴールのアリを活かしていくカタールの戦いはワールドカップ本番でも通用するのだろうか。過去のワールドカップ開催国の中でも特に読みづらいチームで、ホームの声援を受けるカタールはかなり不気味な集団だ。

欧州でプレイしている選手たちが直前までリーグ戦をこなしていたのに対し、カタールがワールドカップ本番へ向けて着々と合宿で準備を重ねてきた点も怖さがある。開幕節はエクアドルとの対戦だが、ここに勝てば一気に波に乗るだろう。開催国としてアジアカップ2019王者の意地を見せてほしいところで、カタールにとって勝負のワールドカップが始まる。