FIFAワールドカップカタール2022で日本代表らと同組のコスタリカ代表は、大会前に予定していたイラク代表との強化試合が中止となった。コスタリカサッカー連盟(FCRF)のロドルフォ・ビジャロボス会長が、17日に会見を開いて事情を説明した。
会見によると、クウェート経由でイラクに入国しようとした際、イラクの入国審査官がコスタリカのパスポートにスタンプを押そうとしたため、コスタリカ代表チームは入国を断念した模様。イラクの入国スタンプがパスポートに押されていると、短期のアメリカ渡航に必須となる電子渡航認証システムESTAが利用できないなどの弊害が生じる。そのため、FCRFは渡航を手配した会社を通じて、スタンプを押さないようイラク側と事前に合意していたようだ。
ビジャロボス会長は今回のトラブルをイラク側の「明確な契約違反」だと主張。「11月10日付のメールには、イラクサッカー協会が我々と契約した企業に対して、我々は完全に優遇され、パスポートのスタンプは押されないと確認したことが書かれている」と、証拠も残っていることを明かした。また、入国審査時に起こった出来事を次のように語っている。
「重要な点を明らかにしたい。私たちがすぐに戻らなかったのは、プレーするかどうかまだ疑問があったからではない。代表団全員のパスポートはすぐに用意することができたが、バスの運転手の2冊のパスポートはイラクの外交官が所持しており、彼はそれを渡すのを拒否した。約45分間、彼は私たちがいる場所から姿を消し、運転手が入国手続きを行うための書類を持っていなかったため、バスを動かすことができなかった。そして、長い時間をかけてパスポートを取り戻し、すべてをサポートしてくれたクウェート当局に感謝したい」
会見に同席したFCRFのフアン・カルロス・ロハス理事は、「今日起きた事態に落胆しているが、代表チームの利益のために、経営陣、コーチングスタッフ、選手が合意した上で正しい判断がなされたと確信している」とコメントしている。
ビジャロボス会長は「残念ではあるが、我々の代表チームの利益は何よりも優先される。選手たちはすぐに起き上がり、我々はすべての計画を再開し、ワールドカップに参加するという想いを抱いて明日飛び立つだろう」と語り、チームにメンタル面の影響はないことも強調した。
コスタリカ代表は23日にスペイン代表、27日に日本代表、12月1日にドイツ代表と対戦する。