イラン代表は、イングランド代表との試合前に国歌斉唱を拒否していたようだ。21日、イギリスメディア『BBC』が報じている。
同日、イランはFIFAワールドカップカタール2022のグループB第1戦にて、イングランドと対戦。試合はブカヨ・サカの2ゴールなどでイングランドが6-2と大勝していた。
この試合で、イランは今年9月に起きたマハサ・アミニさんの拘留・死亡事件に抗議する形で国歌斉唱を拒否。母国に対し、反政府という立場の支持を表明した。また、一部のファンはこのイラン代表チームの行動を支持する形で、国歌の最中にブーイングを飛ばしたり、その他にも「女性、人生、自由」と書かれたボードを掲げていたことも確認されている。
これに対し、イラン国営テレビは、この部分をカットし、これ以前に放送されていたスタジアムの映像に差し替えたと報道されている。
イラン・チームを率いたカルロス・ケイロス監督は、イランの政情不安がチームにも影響を及ぼしていたことを認めている。
「チームを邪魔する人々は歓迎されない。選手たちに試合をさせてくれ。彼らは、ここにいる他の代表チームと同じように国を代表し、人々を代表したかっただけなのに。彼らは人々に誇り、喜びをもたらしたいと思っている」
なお、元イングランド代表FWであるゲーリー・リネカーはこの試合のハーフタイムにて、前述の件に関してコメント。「パワフルで、非常に重要なジェスチャーだった。サッカーはその力を善のために使おうとしている」と語っている。
不安定な国の状況もありながら、国民のため、国を代表して戦うイラン。これ以上、イラン・チームに暗い影を落とすようなことが起きないことを祈るばかりだ。