日本代表として歴代3位となる126試合に出場した吉田麻也。2022年のFIFAワールドカップまではキャプテンを務めていたが、その大会後からは代表に招集されていない。

現在、MLSのLAギャラクシーでプレーする吉田は、『fifa.com』のインタビューで様々な話題を語ったが、現在の日本代表についてはこう話していた。

「(日本代表のアジアカップ敗退をどう思ったか)

全体的に見て、アジアにおける大国と小国との差はとても縮まっている。自分が20~21歳の頃は大きな差があった。(アジアの?)サッカーは完全に変わった。今では欧州スタイルのサッカーがより多くの国で実装されている。常に西アジアの選手は、非常に速くて、技術的にも優れている。今の彼らはより規律があり、ハードワークをし、より分析を行っており、差は縮まっている。(2022年)W杯後に日本は同じ監督(森保一)が続投したが、新しい選手を入れたので、30歳以上の選手たちはほとんどいなくなった。

(日本代表は2022年W杯で非常に印象的だったが、今のチームと比べて変化はあるか)

僕らはW杯とアジアカップではプレーの仕方が違う。試合運び、コントロールやコミュニケーションの仕方、スタジアムの雰囲気への対処など、アジアとW杯とは全てが違う、特に西アジアでは。いまの日本代表にはこの経験が足りない。イラン戦の敗北は本当に痛かった。大きなチャンスを逃したと思うが、W杯優勝という大きな目標を達成するには、日本の若手選手たちにとってとてもいい経験になるはず。彼らがここから学ぶことを願っている。

(今回のアジアカップは日本にとって10年以上ぶりにあなたがいない大会だった。あなたのようなリーダーシップを取り戻すには何が必要か)

僕らの世代の日本選手たちも同じようにつらい経験をした。だから、いまの選手たちがどう反応するかを見たい。大事なことは全ての選手が、特にプレミアリーグやブンデスリーガでプレーする選手たちが、疲労を感じることなく代表に合流すること。彼らが精神的・肉体的に充電できるように手助けすることが重要だ。

(いまは欧州トップリーグに多くの日本人がいるが、先駆者のひとりであるあなたは欧州にいる多くの若手をどう見ているのか)

そのことはとても嬉しい。これは自分が最初から望んでいたものだ。自分が名古屋グランパスから移籍する直前の2010年には誰もがこう言っていた。『不可能だ。アジア人のセンターバック?英語も話せない。フィジカル的に小さすぎる。これまで誰もやれていない。若すぎる』と。人々は常にネガティブなものを見つけるものだ。だからこそ自分は欧州に行きたかった。いま多くのアジア人が欧州にいるのが見られてとても嬉しい。

(逆に言えば、欧州にいるアジアのスター選手が代表チームで期待に応えるのはどれほど難しいのか)

W杯で日本代表は多くのポゼッションはできないが、アジアではほとんどの時間で自分たちがボールを持つ。これが最大の違いだ。また、代表チームでは一緒に練習する時間もあまりない。長いフライトに時差ボケもある。それでもリヴァプールの遠藤航やアーセナルの冨安健洋ならパフォーマンスを期待される。韓国代表のソン・フンミンも毎試合3ゴールを期待されている。それは人々が思っているよりもはるかに大変なことだ。一方、西アジアの国々は、代表チームのために国内リーグを延期する。彼らはリーグ戦を中断し、代表チームのトレーニングキャンプを長く行う。その準備で全てが全く違ってくる。

(代表でのパフォーマンスが誇張されることで世間から厳しい目に晒されることが多いアジアの若手選手たちにアドバイスはあるか)

それは大きな問題だ。メンタルヘルスは大きな問題、特にいまはSNSがものすごく大きいからね。自分もW杯期間中やイタリア、ドイツ、イングランドで多くの批判を浴びた。僕らはSNSをデトックスしなければいけない時もある。SNSと現実との間に適切な距離をとる必要がある。それはとても重要なことだ」

日本代表は2022年ワールドカップ後も森保監督が続投。

日本代表、森保監督がアジアカップに招集するべきだった5人

吉田は30代のベテラン勢がほとんどいなくなったことを指摘していた。