「サプライズ選出とか言われたり、経験不足と言われたりしていますが、誰しもワールドカップに一回目に出る時は初体験だし、そこで結果を出せば全部を覆せると思っています。自分の持っているものをすべて出して、特に得点で日本を勝利に導きたいですし、日本を笑顔にできる大会にしたいです」
ドイツ戦を2日後に控えた11月21日に決意を語ったのは相馬勇紀である。
最後のテストマッチとなった17日のカナダ戦でもゴールを挙げて勢いに乗り、何より心身ともに状態が良さそうだと伝わってくる。記者陣からの“持っている”との声にも「運と捉えるか、自分で積さねてきたものと捉えるか、持っていると言われるのは僕は嬉しいですし、それは結果を出さないと言われない言葉なので、もっと言われるように頑張ります」と意気込んだ。
国際経験は乏しい25歳だが、今夏のE-1選手権ではMVPと得点王を受賞。夢であったワールドカップのメンバー入りを果たした。
一番の魅力はスピードと脚力。得意の左サイドを縦に突破する力は他の選手にない武器で、日本の攻撃に推進力をもたらす。ドイツ、コスタリカ、スペインと対戦するグループリーグでは、ボールを持たれる時間も増えるはずで、奪ってからの素早い攻撃が鍵になる。その際に一気に前に出てフィニッシュに絡める彼の力は大きなプラスアルファになるはずだ。
ふたつ目のポイントは高い守備意識。カナダ戦でも見せたように献身的に走り、チームのバランスを維持させる。格上との試合でもその姿勢は重要になるだろう。
そして何より短期決戦で大切な勢いを持っている。彼が今大会の日本のキーマンになる可能性は十分にあるだろう。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト特派)