【戦評】デンマーク×チュニジア、メキシコ×ポーランドは決め手を欠いて0-0ドロー

 カタール・ワールドカップ(W杯)は大会3日目に衝撃の番狂わせが起こった。これが最後のW杯となるFWリオネル・メッシを擁するアルゼンチン代表を、サウジアラビア代表がまさかの逆転劇で撃破。一方で前回王者フランス代表は、オーストラリア代表に先制を許すも地力の差を見せて逆転勝利した。ポーランド代表は世界最高峰のストライカー、FWロベルト・レバンドフスキがW杯初ゴールのチャンスを得たが、そのPKをメキシコ代表GKギジェルモ・オチョアがスーパーセーブしている。

■アルゼンチン 1-2 サウジアラビア
グループC第1戦
キックオフ:現地時間11月22日13時(日本時間22日19時)
1-0 前半10分 リオネル・メッシ(アルゼンチン)
1-1 後半3分 サレハ・アルシェハリ(サウジアラビア)
1-2 後半8分 サレム・アルドサリ(サウジアラビア)

 メッシが先制PKを決めるところまではアルゼンチンが順調な入りをしていた。しかし、その後に最終ラインの高いサウジアラビアの背後を突いた決定機がことごとくオフサイドに。なかには、今大会で導入の「セミ・オートメーテッド・オフサイド・テクノロジー(SAOT)」によるセンチメートル単位の判定もあった。逆に後半の立ち上がり、ちょっとしたミスから同点にされると勢いを止められずに逆転を許す。残り時間で攻め立てたアルゼンチンだが追いつくことができず、世紀の番狂わせを許してしまった。

■デンマーク 0-0 チュニジア
グループD第1戦
キックオフ:現地時間11月22日16時(日本時間22日22時)

 昨年の欧州選手権(EURO)で4強入りしたデンマークだが、会場に詰め掛けた大サポーターからの声援を受けたチュニジアに手を焼いた。後半に入るとボールの支配率を高めたものの、心不全から植え込み型除細動器(ICD)を装着してサッカーのトップシーンに復活してきたMFクリスティアン・エリクエンのシュートも相手GKにセーブされてゴールならず。今大会で初のスコアレスドロー決着となった。

■メキシコ 0-0 ポーランド
グループC第1戦
キックオフ:現地時間11月22日19時(日本時間23日1時)

 アルゼンチンの敗戦を受けて勝ち点3への意欲が高まって迎えた両者だが、活躍を見せたのは両守護神だった。全体的にメキシコが攻め込む回数が多いなかでポーランドは名門ユベントスでプレーするGKヴォイチェフ・シュチェスニーが最後の砦として立ちはだかった。そしてポーランドは後半11分にエリア内に攻め込んだレバンドフスキが倒されてPKを獲得。しかし、自らゴール右を狙ったキックは歴代最多タイの5回目のW杯出場となるメキシコのGKギジェルモ・オチョアがファインセーブ。両者無得点で終えた。

■フランス 4-1 オーストラリア
グループD第1戦
キックオフ:現地時間11月22日22時(日本時間23日4時)
0-1 前半9分 クレイグ・グッドウィン(オーストラリア)
1-1 前半27分 アドリエン・ラビオ(フランス)
2-1 前半32分 オリビエ・ジルー(フランス)
3-1 後半23分 キリアン・ムバッペ(フランス)
4-1 後半26分 オリビエ・ジルー(フランス)

 前回王者フランスはまさかの先制を許したものの、落ち着きを取り戻せば力の差を見せた。セットプレーの2次攻撃からMFアドリエン・ラビオのゴールで追いつくと、所属クラブのACミランでも絶好調なFWオリビエ・ジルーが2得点。エースのFWキリアン・ムバッペも初戦でゴールして力の差をハッキリと見せつける勝利になった。オーストラリアは全体的に寄せの甘さが目につき、次戦以降に向け短い期間でもピリッとした空気感に修正しなければならないだろう。

【グループ順位】逆転負けのアルゼンチンは最下位、快勝フランスは首位

■グループC
1位 サウジアラビア 勝ち点3(得失点差+1)
2位 メキシコ 勝ち点1(得失点差±0)
2位 ポーランド 勝ち点1(得失点差±0)
4位 アルゼンチン 勝ち点0(得失点差-1)

■グループD
1位 フランス 勝ち点3(得失点差+3)
2位 デンマーク 勝ち点1(得失点差±0)
2位 チュニジア 勝ち点1(得失点差±0)
4位 オーストラリア 勝ち点0(得失点差-3)

 グループCはサウジアラビアがまさかの首位スタート。最悪のスタートとなったアルゼンチンだが、もう1試合が引き分けに終わったのは不幸中の幸いだろう。難敵が相手とはいえ、残り2試合を勝利できれば自力での突破ができる。一方で、メキシコとポーランドにとってはまさに痛み分けと言えるドロー決着。サウジアラビアからの勝利を確保したうえで、アルゼンチンを相手にどんな成績を残せるかで混戦グループの中で上位2チームに入れるかが決まりそうだ。

 グループDはフランスが先制点を与えてヒヤッとしたものの、順当に勝ち点3でスタート。2位争いで優位と見られていたデンマークは今一つプレーに精彩を欠いた感があり勝利を逃した。第2戦でフランスと対戦するゲームが決勝トーナメント進出を左右するだろう。チュニジアにとっては貴重な勝ち点1となり、得失点差でも大きなマイナスを背負ったオーストラリアは早くも崖っぷちに立たされた。(FOOTBALL ZONE編集部)