過去に世界大会では開幕戦で活躍
いよいよ日本の至宝、MF久保建英(レアル・ソシエダ)にとって初めてとなるワールドカップ(W杯)が始まる。11月22日、カタール大会グループリーグ初戦のドイツ戦の前日練習を終えた久保は、「やれることをやったので、あとは残りの時間、もう24時間を切っていますが、ここからは各個人でいい準備をして、誰が出ても最高の結果を出せるようにしたい」と、静かに闘志を燃やした。
これまでも東京オリンピックの初戦となったU-24南アフリカ戦(1-0)で決勝点を挙げ、U-20W杯初戦のU-20南アフリカ戦(2-1)でも途中出場からMF堂安律(フライブルク)のゴールをアシスト、U-17W杯でも初戦のU-17ホンジュラス代表戦(6-1)で1得点2アシストと活躍を見せた。世界大会における初戦の強さには、特筆のものがある。
開幕戦の強さについて、久保は「レベルが違う大会なので比較しても仕方がないが、開幕戦からチームを助けになれるなら、これ以上のことはない」と、W杯の難しさを認識しつつも得点に絡むことでチームへ貢献する意欲を見せた。
ドイツ戦は9月に行われたドイツ遠征でのアメリカ戦(2-0)に続き、2列目は左に久保、トップ下にMF鎌田大地(フランクフルト)、右にMF伊東純也(スタッド・ランス)と並ぶことが有力視されるが、鎌田との連係では「(鎌田は)間で受けるのがすごく上手い。そういうところで、鎌田選手が受けた時に、サイドやボランチのところで、1つスイッチを切り替えられたらと思う」と、イメージを膨らませた。
プレスをかけてくるドイツに対して、サイドチェンジは日本の攻撃の鍵になりそうだ。久保は「上手くサイドチェンジができたら、逆サイドの選手には当然、シュートチャンスが生まれると思います。シュートにしろ、クロスにしろ、いいサイドチェンジがあった時には、しっかりプレーをやりきることを心掛けていきたい」と言う。
ドイツと違い「失うものもない」と意気込む
また、サイドでボールを持ち、相手のサイドバック(SB)と対峙した際のプレーについても「1対1の勝負には負けたくないと思います。そこで自分が1人かわせれば、数的優位を作れると思う。そういうところは(出場の)チャンスをもらえたら、積極的に仕掛けていきたい」と話し、「僕らは彼らと違って失うものもない。彼らに比べたらプレッシャーも少ないと思う。そういうところもアドバンテージにやっていけたらと思う」と、力を込めた。
相手にボールを保持される時間が、長くなることが想定される試合。久保は「ゼロに守って1点取れば、勝てる話。しっかりできるだけ長い時間0-0にする。前半なんかは0-0でいいと思いますし、相手はそれに焦れてくると思うので、それが好ましいですね」と、まずは失点をしないことの重要性を語った。
日本のみならず、世界中からそのW杯でのパフォーマンスが注目を集める久保だが、21歳で迎えるW杯デビュー戦は、どのようなものとなるだろうか。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)