【戦評】“森保采配”が実った日本、布陣変更でドイツから歴史的勝利

 カタール・ワールドカップ(W杯)は大会4日目を迎え、日本代表が世界を驚かせるアップセットを演じてドイツ代表を2-1で破った。また、同組のスペイン代表はコスタリカ代表を相手に7得点大勝。前回3位のベルギー代表は初戦を飾り、前回準優勝のクロアチア代表はドロー発進となった。

■クロアチア 0-0 モロッコ
グループF第1戦
キックオフ:現地時間11月23日13時(日本時間23日19時)

 前回のロシアW杯で躍進して準優勝したクロアチアはMFルカ・モドリッチやFWイバン・ペリシッチといった当時のメンバーも健在だが、同じアラブ系の国家でホームスタジアムのような声援を受けるモロッコに手を焼いた。モドリッチもゴール正面からのミドルを大きくクロスバーの上に外してしまうなど、らしさを欠いた。失点ゼロに抑え込んで勝ち点1は得たものの、ややスローな立ち上がりとなった。

■日本 2-1 ドイツ
グループE第1戦
キックオフ:現地時間11月23日16時(日本時間23日22時)

0-1 前半31分 イルカイ・ギュンドアン(ドイツ)
1-1 後半30分 堂安律(日本)
2-1 後半38分 浅野拓磨(日本)

 W杯4回優勝のドイツに対して日本は前半に完全な守勢に回った。PKによる失点があっただけでなく、80%近いボール保持率を相手に記録される厳しすぎる展開になったが、結果的には1点ビハインドで乗り切ったのが大きかった。後半に入ると5バックに変更してマッチアップした状態から積極的な試合を展開。後半30分に交代出場のMF堂安律が同点ゴールを奪うと、8分後にはDF板倉滉のロングボールに反応した途中出場のFW浅野拓磨がGKマヌエル・ノイアーのニア上を射抜いて歴史的な勝利を呼び込んだ。

■スペイン 7-0 コスタリカ
グループE第1戦
キックオフ:現地時間11月23日19時(日本時間24日1時)

1-0 前半11分 ダニ・オルモ(スペイン)
2-0 前半21分 マルコ・アセンシオ(スペイン)
3-0 前半31分 フェラン・トーレス(スペイン)
4-0 後半9分 フェラン・トーレス(スペイン)
5-0 後半29分 ガビ(スペイン)
6-0 後半45分 カルロス・ソレール(スペイン)
7-0 後半AT2分 アルバロ・モラタ(スペイン)

 日本と同組のもう1試合はスペインが完全に圧倒した。前半だけで3得点、後半にも4得点したゴールラッシュは、シュート数が17対0という衝撃の数値に。アタッキングサードへの侵入回数も60回と7回という大差が付き、内容も結果も圧倒的だった。ボール保持の力はあるが得点力が不安だという大会前の懸念を完全に払しょくしたゲームを展開したスペインが今大会で最高のスタートを切った。一方のコスタリカはショッキングな敗戦から立ち直れるか注目される。

■ベルギー 1-0 カナダ
グループF第1戦
キックオフ:現地時間11月23日22時(日本時間24日4時)
1-0 前半44分 ミシー・バチュアイ(ベルギー)

 前回3位のベルギーは前半10分過ぎにPKを与えるスタートになったが、バイエルン・ミュンヘンでプレーするカナダ代表のスターDFアルフォンソ・デイビスが狙ったしシュートをGKティボー・クルトワがファインセーブ。強度の高いプレーを見せるカナダに手を焼いたものの、前半終了間際にFWロメル・ルカクの負傷欠場によりスタメン出場のチャンスを得たバチュアイが決勝ゴールを奪った。また、この試合は第4審判を日本の山下良美氏が務めた。

【グループ順位】日本に逆転負けのドイツ、次戦のスペイン戦は勝利必須

■グループE
1位 スペイン 勝ち点3(得失点差+7)
2位 日本 勝ち点3(得失点差+1)
3位 ドイツ 勝ち点0(得失点差-1)
4位 コスタリカ 勝ち点0(得失点差-7)

■グループF
1位 ベルギー 勝ち点3(得失点差+1)
2位 クロアチア 勝ち点1(得失点差0)
2位 モロッコ 勝ち点1(得失点差0)
4位 カナダ 勝ち点0(得失点差-1)

グループEは日本がドイツを相手に勝ち点3を得る最高のスタート。ドイツは前回ロシアW杯のメキシコ戦に続き初戦に敗れた。そして、スペインが衝撃の7点差勝利を得たため、得失点差が大きく動いた。ドイツにとっては第2戦のスペイン戦は引き分けも許されない背水の陣になった。また、コスタリカも突破の可能性を模索するなら2連勝が必須。日本との試合ではリスクを覚悟で攻撃的な姿勢でゲームに臨むことが予想される。

グループFは2試合ともロースコアとなり、クロアチアはやや低調な試合運びだった。1998年フランスW杯の3位、前回のロシアW杯の準優勝が際立つが、ほかの大会は予選敗退かグループ敗退という上下の振れ幅が大きい歴史を持つだけに、第2戦で真価が問われそうだ。一方のベルギーは苦戦したものの、カウンターの鋭さは健在だった。第2戦ではクロアチアとカナダが対戦するが、ベルギー戦を見る限りは十分に勝機がありそうだ。(FOOTBALL ZONE編集部)