【FIFA ワールドカップ カタール 2022・グループG】スイス 1 vs 0 カメルーン(日本時間11月24日/アル・ジャヌーブ・スタジアム)
生まれ育った祖国を相手に決めた、今大会初ゴールだった。カメルーン生まれのスイス代表ブレール・エンボロが、カメルーンを相手に“恩返し弾”をマーク。歓喜に湧く味方に抱き寄せられながら、長い時間、自身のワールドカップ初得点をかみ締めていた。
【映像】カメルーン生まれのスイス代表が決めた恩返し弾で感極まる
前半から何度かカウンターでチャンスメイクするも、決定的なフィニッシュを見せられないまま時間が経過。スイスはスコアレスで試合を折り返した。
均衡を破ったのは後半早々だった。48分、左サイドから攻撃を開始したスイスは、日本代表DF冨安健洋の同僚でもある中央のグラニト・ジャカ(アーセナル/イングランド)を経由して、右サイドへ。ボックス内に走り込んだジェルダン・シャキリ(シカゴ/アメリカ)が右足のダイレクトで折り返すと、ゴール前で待ち構えたブレール・エンボロ(モナコ/フランス)が冷静にフィニッシュを流し込んで先制点をマークした。
エンボロの生まれ故郷は、カメルーンの首都ヤウンデだ。
両親の離婚をきっかけに5歳で母親と共にフランスへと移住し、その後、スイスのバーゼルで暮らすことになった。サッカーを続けてきたエンボロは、カメルーンへの思いを胸に抱きながらも、17歳の時にスイス代表となることを選択したのだった。
2016年には元日本代表・内田篤人氏とシャルケでプレーし、現在は、南野拓実と共にモナコでプレーする。得点シーンをABEMAの解説・水沼貴史氏は「崩し方も綺麗でしたけど、質です。シャキリは左利きですが、右足で入れた。完全にフリーであることをシャキリが見えていたので、本当は左足に持ち替えたいけど、あのタイミングを逃したらチャンスにならないので、右足で入れた」と、シャキリのラストパスを評価したが、「そこにいることがエース」とも話していた。スイスのワントップを任されるエンボロは、貴重な今大会初ゴールをマークし、その1点が決勝点となり、68年ぶりベスト8を狙うチームをけん引した。
現在25歳。19歳の頃にはすでに「エンボロ財団」を設立し、スイスに住む難民の子どもと、祖国カメルーンとペルーに住む貧困者層の子どもを支援する活動を続けている。祖国を愛し、自身のルーツを胸に戦うエンボロは、今大会でどこまで飛躍できるだろうか。
(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)