【試合展望】開催国カタールはセネガル戦で生き残りを懸ける

 カタール・ワールドカップ(W杯)の大会6日目は、グループリーグの2戦目が始まる。各チームが初戦を受けて勢いに乗り、あるいは修正を施してゲームに臨むことになる。なかには決勝トーナメント進出を決めるチーム、敗退を決めるチームも出てくるだろう。その中では、崖っぷちに立たされた開催国カタール代表が最終戦に希望を残せるか、強豪オランダ代表とイングランド代表が連勝を決められるかも注目ポイントになる。

■ウェールズ×イラン
グループB第2戦
キックオフ:現地時間11月25日13時(日本時間25日19時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:MFアーロン・ラムジー(ウェールズ)、FWサルダル・アズムン(イラン)

 ウェールズ代表はアメリカ代表との初戦を引き分けで入った。先制を許したところからFWギャレス・ベイルによるPK奪取と自らのゴールで勝ち点1を手にしたが、試合内容は苦戦した面もあった。MFアーロン・ラムジーとベイルのベテラン2人の存在感は今でも大きいが、大会の中でどこまでコンディションを維持できるか。勝利できれば最終戦のイングランド代表との英国対決に向け大きな弾みがつくだろう。

 イラン代表は初戦でイングランドに2-6の大敗を喫したため、絶対に勝利が欲しいゲームになる。それでも、初戦でFCポルトでプレーするFWメフディ・タレミが2ゴールしたのは好材料。レバークーゼンのFWサルダル・アズムンが負傷明けで短い時間のプレーだったが、彼が復調してくれば残り2戦を十分に競争力あるチームとして戦える。GKアリレザ・ベイランバンドは欠場が濃厚だが、中東開催の地の利を生かしてスタジアムの空気感も味方につけたい。

■カタール×セネガル
グループA第2戦
キックオフ:現地時間11月25日16時(日本時間25日22時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:FWアルモエズ・アリ(カタール)、FW イスマイラ・サール(セネガル)

 カタールは初戦でエクアドル代表に力負けのスタート。もしここで敗れると、もう1試合の結果次第で第2戦での敗退が決まってしまう。アフリカ王者セネガル代表を相手に試合を支配して真っ向勝負で上回るのは難しいだろうが、ホームのサポーターは敗色濃厚になると諦めて家路についてしまう気質の持ち主だけに、最後まで可能性を残す戦いが必要だ。アジアカップで得点王のFWアルモエズ・アリは初戦でチャンスに恵まれなかったが、彼になんとかしてシュートチャンスを回さなければならない。

 強豪オランダに敗戦で入ったセネガルもまた、敗退決定の可能性を背負って試合に臨む。スターのFWサディオ・マネが大会を負傷欠場しているなかでは、最後の得点力をどう発揮できるか。FWイスマイラ・サールやFWブレイ・ディアといった初戦で可能性を見せた選手たちがここでチームを勝利に導きたいところだ。ここで勝ち点3を得られれば、第3戦でエクアドルとの決戦に持ち込むことが可能だろう。

■オランダ×エクアドル
グループA第2戦
キックオフ:現地時間11月25日19時(日本時間26日1時)
放送・配信:テレビ朝日系、ABEMA
注目選手:FWメンフィス・デパイ(オランダ)、MF モイセス・カイセド(エクアドル)

 オランダの初戦勝利は、後半途中出場のFWメンフィス・デパイが試合の流れを変えたことが大きかった。負傷明けということもありルイス・ファン・ハール監督はグループリーグでのスタメン起用に慎重という情報もあるが、それならばデパイ投入はオランダが勝負に出る合図だと言える。初戦で先制点のMFコーディ・ガクポや中盤で存在感を放ったMFフレンキー・デ・ヨングらが南米の曲者を相手にゲームを安定させたい。第3戦は開催国カタールが相手だけに、ここに突破決定を持ち越すのは避けたいだろう。

 初戦でカタールに完勝したエクアドルは、強度の高いゲーム運びが印象的だった。ブライトンで日本代表MF三笘薫の同僚でもあるMFモイセス・カイセドは運動量豊富に最終ラインと中盤をリンクしながらビルドアップに関わる。初戦と同様にオランダが5バックで構えるなら、カイセドがボールを引き出しながら押し込んでいくことも可能だろう。南米予選でブラジルやアルゼンチンから引き分けをもぎ取ったしぶとさをこのゲームでこそ発揮したい。

■イングランド×アメリカ
グループB第2戦
キックオフ:現地時間11月25日22時(日本時間26日4時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:MFジュード・ベリンガム(イングランド)、MFタイラー・アダムス(アメリカ)

 イングランドは6発大勝の初戦で先制ゴールを挙げた若きMFジュード・ベリンガムが、それで得た自信を手にさらにスケールアップしたプレーを見せられるかが注目。エースFWハリー・ケインに初戦のプレーで右足首を痛めたことから欠場の可能性が浮上しているが、補って余りあるだけの攻撃陣が控える。MFフィル・フォーデン、FWジャック・グリーリッシュ、FWブカヨ・サカといった20代前半の選手たちが見せる勢いにも注目。このゲームに勝利すれば決勝トーナメント進出が決まる。

 ウェールズとの初戦は洗練されたポジショナルプレーを印象付けた。アンカーのMFタイラー・アダムスはポジショニングが巧みで、ウェールズのプレスを見事にかいくぐっていた。これがイングランドを相手にしても通用するのかは注目ポイントになる。ACミランのDFセルジーニョ・デストやユベントスのMFウェストン・マッケニーといったイタリアの名門でプレーする2人も注目だ。第3戦は政治的な因縁も深いイランとの対戦が待つ。なんとかイングランドから勝ち点を奪って最終戦を迎えたいところだ。

【グループ展望】オランダは1位通過へ重要な一戦、イランはアジア勢の意地を見せられるか

■グループA
1位 オランダ 勝ち点3(得失点差+2)
1位 エクアドル 勝ち点3(得失点差+2)
3位 セネガル 勝ち点0(得失点差-2)
3位 カタール 勝ち点0(得失点差-2)

 初戦を勝利したチーム、敗戦したチームがそれぞれ対戦する。そのため、2試合が終わった時点で突破決定チームと敗退決定チームが出る可能性がある。カタールは初戦のエクアドル戦を見る限り、グループの中では力が1枚落ちる。とはいえ、開催国が連敗で第3戦を前に敗退決定という事態だけは避けなければならない。オランダはB組の初戦でイングランドが見せた強さを考えれば、決勝トーナメントを見据え確実に1位通過をしたいところ。このエクアドル戦が大会のキーポイントと言えるかもしれない。

■グループB
1位 イングランド 勝ち点3(得失点差+4)
2位 アメリカ 勝ち点1(得失点差±0)
2位 ウェールズ 勝ち点1(得失点差±0)
4位 イラン 勝ち点0(得失点差-4)

 イングランドは2連勝できれば決勝トーナメント進出が決まる。ウェールズとイランの結果次第では1位が決まる場合もあるだけに、ここで勝ち点3を得て第3戦でターンオーバーをしたいところだろう。ウェールズとイランは生き残りをかけた決戦になるが、イングランドに初戦で圧倒されたイランは本来の力が分からない部分もある。大きな力の差がない相手との対戦で真価が問われるだろう。この試合に敗れると敗退が決まるだけに、アジア勢の意地を見せてほしいところだ。(FOOTBALL ZONE編集部)