今後どのようなドラマが待っているのだろうか
21日のカタール×エクアドルのカードで開幕したFIFAワールドカップ・カタール大会はグループGブラジル×セルビアをもってグループステージ第1節の全試合が終了した。ここから第2節、第3節と行われ、12月4日からノックアウトステージがスタートすることになる。
『グループA』
開催国カタールのいるグループAは波乱もなく、第1節が終わった。エクアドルはカタールに力の差を見せつけており、オランダはセネガルに終盤で勝ち越し白星を掴んだ。スコア上は0-2となっているが、終盤まで接戦が繰り広げられており、オランダに最初のゴールが生まれたのは84分とかなり遅い。セネガルはエースサディオ・マネを負傷で欠いてしまっているが、次のカタールに確実に勝てばまだ決勝トーナメントへ進む可能性は残されている。
『グループB』
グループBもAと同様に波乱なし。イングランドがイランに大勝し、アメリカ×ウェールズは1-1の痛み分けに。UEFAネーションズリーグで絶不調だったイングランドの状態は問題なさそうだ。ハリー・ケインを中心とした攻撃力は圧倒的であり、グループステージではスペインに次ぐ6ゴールを挙げた。
『グループC』
グループCでは今大会最大のジャイアントキリングが起きており、サウジアラビアがアルゼンチンを破っている。アルゼンチンはここまで36連勝と素晴らしい成績を残していたが、思わぬ落とし穴にハマってしまった。優勝候補の大本命だったが、評価を変えなければならない。続く2節はメキシコ、3節はポーランドと曲者揃いであり、リオネル・メッシのラストイヤーはグループステージ敗退で終わってしまうのだろうか。
『グループD』
フランス×オーストラリアではオーストラリアが先制し、サウジアラビアのジャイアントキリングを彷彿とさせたが、さすがは前回大会の覇者フランスだ。カリム・ベンゼマは怪我で不在となっているが、代役のオリヴィエ・ジルーが2ゴール。キリアン・ムバッペ、ウスマン・デンベレと両翼が躍動しており、オーストラリアは先制した勢いを維持することができなかった。中盤ではオーレリアン・チュアメニとアドリアン・ラビオがこちらも不在のポール・ポグバとエンゴロ・カンテが抜けた穴を埋めており、問題なく今後も優勝候補として期待できる。
波乱のW杯が始まった
『グループE』
日本のドイツ撃破は世界中に衝撃を与えた。ハーフタイムでの戦術変更がドイツに刺さっており、ドイツは対応できず初戦を落としている。前回のFIFAワールドカップ・ロシア大会でもドイツは初戦を落としており、その後グループステージで姿を消している。今回は同組にスペインがおり、同じ運命をたどる可能性がある。
スペインは初戦コスタリカ戦で7ゴールととんでもない破壊力を見せた。ルイス・エンリケ体制となってからは国際舞台で結果を残しており、第2節ドイツ戦の結果次第ではフランスに並ぶ優勝候補の本命となるだろう。
『グループF』
前回大会2位のクロアチア、前回大会3位のベルギーがいるグループFは今後最も波乱が起きそうなグループだ。よそから見たこのグループの印象は2強2弱だが、蓋を開けて見ればその意見が的外れということが分かった。クロアチアはルカ・モドリッチを中心にモロッコを攻め立てるが、ヤシン・ブヌを中心とした堅守を崩せない。マリオ・マンジュキッチが去った攻撃陣は不安要素の一つであり、どうやってゴールを奪うかが今大会のテーマになるだろう。
もう一つのカードであるベルギー×カナダでは、36年ぶりにW杯出場を決めたカナダがベルギーを圧倒する。結果は1-0でベルギーの勝利となったが、守護神ティボー・クルトワの奮闘がなければ結果が変わっていただろう。ベルギーは以前のような強さはなく、グループステージ突破すら危ういかもしれない。
『グループG』
大本命のブラジルはセルビア相手に強さを見せ、2-0と白星で今大会をスタートさせた。ネイマール、ヴィニシウス・ジュニオールをはじめとするタレント集団がセルビアを圧倒しており、フルタイムで総シュート数22本、オンターゲット8本を記録。セルビアの守護神ヴァニャ・ミリンコビッチ・サビッチも奮闘したが、ブラジルの攻撃を抑えることはできなかった。リシャルリソンの2ゴール目は早くも今大会ベストゴールの呼び声高い。
不安要素となるのは10番を背負うネイマールの状態だ。試合後は足を引きずっている様子が確認されており、右足首に違和感があるようだ。怪我の詳細は明かされておらず、無事を祈りたい。
『グループH』
グループGは韓国がサウジアラビア、日本に次ぐ奮闘を見せた。白星こそ獲得できなかったが、南米の雄ウルグアイに対し真っ向から立ち向かい勝ち点1を獲得している。グループステージでは負けないことが大事であり、次節ガーナ戦に勝てば決勝トーナメント進出が見えてくる。
クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルは勝利したものの、ガーナ相手に3-2と打ち合うになってしまった。センターバックが本職ではないダニーロ・ペレイラが務めていたのもあるが、チーム全体で安定感不足だ。それでも攻撃陣にタレントは豊富であり、グループステージ突破は問題ないか。
第1節終了時点での印象はW杯を支配していた欧州勢、南米勢に他の地域がその差を埋めていることだ。サウジアラビア、日本はそれぞれ優勝候補を撃破しており、カナダとガーナはそれぞれ強国を追い詰めた。第2節、3節の結果次第だが今大会は例年に比べ欧州勢、南米勢以外のチームがラウンド16に名を連ねるかもしれない。
それによりこれまでの勢力図は書き換えられることになる。2018年ロシア大会での上位4チームのうち、2チーム(クロアチア、ベルギー)は勢いがない。ドイツ、ポルトガルも不安要素が多く、欧州間での差が開くことに。
連日興味深い試合が繰り広げられているW杯期間。2節での注目カードはフランス×デンマーク、スペイン×ドイツ、ポルトガル×ウルグアイあたりになる。フランス×デンマークは先日まで行われていたUEFAネーションズリーグですでに2回戦っており、1勝1敗とデンマークが強さを見せた。EURO2020での躍進以降デンマークは力を付けており、クリスティアン・エリクセンも戻ってきた。優勝候補フランスが調子を崩すならこの第節2だ。