ワールドカップが開幕しても、イングランドの空気をどこか冷めていた。

 公共放送の『BBC』 は開会式を放送しなかった。また、カタール対エクアドルの開幕戦では、数千人のカタール人が早めにスタジアムを去り、空席となったの事実をことさら強調していた。

 イングランドの初戦であるイラン戦(6-2)は、イージーな試合と見なされていた。そのためか、多くの人が働いている13時キックオフでも、それほど問題にならなかった。グループステージ突破は確実だと考えているファンが少なくないのだ。

 イングランドからカタールに向かったサポーターも3000人だけ。これはこのW杯について、どう考えているかを示している。ちなみに、2018 年ロシアW杯の準決勝には1万人のファンが訪れていた。

 先制ゴールを決めたのは、その4年前はまだ14歳だったジュード・ベリンガムだ。
イングランド代表の歴史において、ティーンエイジャーにしてW杯でゴールを決めたのは、マイケル・オーウェンに次いで2人目だった。
 
 イングランドはとても印象的なプレーをした。対戦相手が最高の出来ではなかったとはいえ、私が覚えている限り、ワールドカップの初戦としては、最高のパフォーマンスのひとつではなかったか。特にベリンがムは素晴らしかった。

 イングランドの選手の多くは、わずか1週間前までプレミアリーグの高いレベルでプレーしていた。そのため、他の多くの国より、w杯に向けたブレイク期間が少なかった。だが、それがマイナスではなく、アドバンテージになる可能性がある。

 このパフォーマンスを見て、ようやく熱が高まってきた。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

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