サッカー日本代表は現地時間23日、FIFAワールドカップカタール・グループE第1節でドイツ代表と対戦し、2-1で勝利を収めた。4年に1度の祭典で起きた強豪国撃破の一部始終には、海外からの反響も多い。果たして、英国人ジャーナリストはサッカー日本代表の勝因をどう見ているのか。(文:ショーン・キャロル)
●「森保一に脱帽だ!」
プレッシャーのかかる場面で成功する鍵は、周囲が冷静さを失いつつあるときでも冷静でいられることである。
水曜日の夜、FIFAワールドカップカタール初戦のドイツ代表戦で、多くのファンやメディア(この記者を含む)、そして選手たちまでもが後者に陥ってしまった。しかし、森保一監督は冷静さを保ち、驚くべき逆転劇を演出、サムライブルーに最も似合わない勝ち点3をもたらしたのである。
前半のほとんどを相手チームに攻められたが、ハーフタイムに森保監督は4-2-3-1から3-4-2-1に変更し、さらに60分を前に三笘薫と浅野拓磨を、71分には堂安律を、75分には南野拓実を投入して状況を一変させることに成功した。
この4人の選手全員が、日本代表の歴史的勝利に大きく貢献した。三笘と南野による左サイドでの素晴らしい組み立ての後、堂安がまず同点ゴールを叩き込んだ。そして、その8分後には、非難されたこともあった浅野がセンセーショナルな勝ち越しゴールを決めて、勝ち点3を手にしたのである。
「日本代表の交代選手のうち3人が、このゴールに絡んでいる。森保一に脱帽だ!」
スコット・マレーは、『ガーディアン』紙の1分単位の速報記事で日本代表の同点ゴールを書き、試合を通して日本代表監督にさらなる称賛を送った。
●英国人記者が送った賛辞とは?
「森保一による交代要員のおかげで、その全員がインパクトを残した。監督の名人芸だ…。そして彼の選手たちも半端ない!」
森保監督は大会前、国内のサポーターから批判を受けていた。特に、大迫勇也と古橋亨梧を外し、サンフレッチェ広島時代に森保一監督に育てられ、9月に負傷離脱していた浅野を加えたことについては不満の声が聞かれた。しかし森保監督は慌てずに準備を進め、日本代表史上初となるベスト8に進出できるチームを編成したと主張し続けた。
もちろん、その目標はまだまだ先のこと。森保監督もそうだろうが、1勝したからといって調子に乗りすぎてはいけない。
彼がチームの運命を好転させたのは今回が初めてではない。激動の状況下での冷静さは成功者の特徴であると同時に、自分の間違いを認識し、それを修正することも重要である。
森保監督が才能を発揮したのは、人選や交代劇だけではない。チームに一体感を醸成し、大事な局面で自分が何を望んでいるかを選手に正確に伝える能力にもあった。
例えば、アジア最終予選の最初の3試合で2敗した後、森保一監督の進退が揺らいだように見えた。昨年10月、ホームでのオーストラリア代表との重要な一戦を前に、普段は控えめな森保一監督が国歌斉唱で目に涙を浮かべていたのだ。
その感情は明らかに選手たちに伝わり、埼玉スタジアムで行われたこの試合でフォーメーションを4-3-3に変え、浅野が後半に再びヒーローとなった。状況を好転させてカタールへの出場権を得るための6連勝をスタートさせたのである。そして、サッカルーズ(オーストラリア代表)とのリターンマッチで途中出場の三笘薫が終盤に2得点を決めて締めくくった。
●「日本代表が勝った最大の理由だ」
そして、カリファ・インターナショナル・スタジアムでも同じことを成し遂げ、選手たちの態度と意思に変化をもたらし、サムライブルーがこれまで獲得した中で最大の勝ち点を獲得したのだ。
「森保一の試合中のマネジメントが、今日、日本代表が勝った最大の理由だ」と、breakingthelines.comのザック・ローウィーは水曜日の夜にツイートした。「三笘薫や浅野拓磨のような攻撃的なサブ組を使って、試合をコントロールしたのだ。
もちろん、日本が長い時間劣勢に立たされたことで、監督への批判が生まれている。確かに、運が良かったこともあり、序盤からもっと落ち着いてボールを扱うこともできたはずだ。
たからといって、三笘や堂安のような選手を先発させるべきだったとする議論は少し軽率だ。あの試合、あるいは無数にある他の試合がどうなっていたかなんて、私たちにはわからない。交代要員を置くことの意義は、交代要員が試合を有利に運ぶことであり、実際にそうなったこのドイツ代表戦で、森保監督は最終的に完璧にカードを使った。
そして今、彼は日曜日のコスタリカ戦で再び勝利を手にするために、雑音を遮断することに集中するだろう。今度こそ、私たちは彼ができると信じるべきなのかもしれない。
(文:ショーン・キャロル)