グループ第2節でコスタリカ代表と対戦、メンバー起用が1つの焦点に

 カタール・ワールドカップ(W杯)の初戦でドイツ代表に2-1で勝利した日本代表は、グループリーグ第2節でコスタリカ代表と対戦する。この試合に向けて、先発メンバーを大幅に入れ替えるいわゆる「ターンオーバー」が使われるかが注目されている。

 9月に行われたアメリカ代表(2-0)とエクアドル代表(0-0)との国際親善試合2連戦で森保一監督は、中3日で行われるカタールW杯を睨んだターンオーバーを用い、先発を全員入れ替えた。ドイツとの初戦に勝利したことで、コスタリカに勝てば一気にグループ突破の可能性が高くなるだけに、この試合にどれだけのメンバーを入れ替えるかが注目される。

 前日練習でも姿が見られなかったDF酒井宏樹(浦和レッズ)は欠場することが確実だ。そのため、少なくとも右サイドバックの人選はドイツ戦から変わることになる。それ以外にも多くの選手を変更することになるのか。

 前日会見で森保監督は、先発メンバーについてのコメントを2回発した。1度目は「まずは明日のベストということで考えている。1試合目の疲労を考慮しながら考えていく。メンバーは明日、試合前の発表を楽しみにしてもらいたいと思います」と言うに留めた。

 2回目は、「前の試合(ドイツ戦)からコスタリカ戦の選手起用は、軸となるところはコスタリカ戦に勝利するためのベストメンバーを選ぶこと、試合の中で状況に応じて交代策を考えることの軸は変わらない。選手を選ぶことに関して、常に26人の良い選手が揃っているので難しいが、交代策は状況に応じて素晴らしい選手たちがベンチに準備してくれている。その状況に合わせて最適と思える交代策を考えるだけ。明日の試合もスタートの選手、ベンチから試合途中に入ってくる選手を含め、チーム一丸となって試合をものにできれば」と、もう少しだけ具体的に語った。

 ターンオーバーを用いるメリットは、前の試合に出場した選手の疲労をより回復できること。負傷を抱える選手の回復を進められること。また出場機会のなかった選手たちの不満を解消することもできる。一方、デメリットは、純粋に戦力ダウンが想定されること。また、特に良い流れにあるチームにおいて、その流れを断ち切ってしまうことがある。W杯という大舞台で、初先発することでかかる大きな重圧に思わぬ反応を見せる選手もいるかもしれない。

2チームを同じレベルの選手で固められるほどの選手層があるわけではない

 前述のように、森保監督は自身が最終的に選んだ26人に、絶大な信頼を寄せている。また、自身が右サイドバックに回る可能性を指摘されたDF長友佑都(FC東京)も、「誰が出ても、どのポジションで出てもおかしくないくらい戦力が充実している」と胸を張り、「チームはすごく団結している。試合に出られなかったら悔しい思いもあるけど、その悔しさを持ちながらチームのために戦える。嫉妬で足を引っ張るのではなく、いま何をすべきか1人1人が考えられる」と、話している。

 ただ冷静に見ると、まだ日本には2チームを同じレベルの選手で固められるほどの分厚い選手層が、すべてのポジションにあるわけではない。勝てば決勝トーナメント進出の可能性もある一戦でターンオーバーを使い、もし勝点を獲得できなければ、これまでの良い雰囲気や勢いが、一変するリスクは高い。

 ドイツ戦に先発した主力を休ませるという点では、コスタリカ戦で勝点3を挙げて、グループ突破を決めてからでも遅くはないように思える。ただし、DF吉田麻也(シャルケ)が「そもそもW杯に簡単な試合なんてない」というように、コスタリカ戦での勝点獲得が保証されていない点も、難しいところだ。逆にコスタリカ戦で主力を温存したものの、第3節でスペイン代表に初戦のコスタリカのような大敗を喫する可能性もゼロではない。

「あらゆる状況を想定して26名を選んだ」という森保監督だが、果たして初戦に勝利したあと、迎えるコスタリカ戦については、ターンオーバーを用いる、用いない、どちらの決断をしているのだろうか。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)