サッカー日本代表は27日、カタールワールドカップのグループステージ第2節でコスタリカ代表と対戦する。
劇的な逆転勝利を収めたドイツ代表戦から中3日で迎える一戦は、決勝トーナメント進出に向けて勝ち点を伸ばす大きなチャンスだ。グループステージ初戦から連勝を飾れば、それだけで日本代表史上初の快挙となる。
ドイツ代表戦での消耗は大きく、DF酒井宏樹やDF冨安健洋は負傷により別メニュー調整を強いられている。そういった事情を鑑みても、スタメン数人の変更が現実的だろう。まだ出番のない選手にもチャンスが与えられるかもしれない。
MF相馬勇紀も、コスタリカ代表戦の有力なスタメン候補だ。ドイツ代表戦はベンチで見届けることになったが、その分、コンディションは整っており「いい準備ができているのでワクワクしています」と語る。
「(コスタリカ代表は)しっかり真ん中を固めてくるチームなので、サイドでの1対1で剥がすことが得点を取る上で大切になってくると思います。そこでの仕掛けはどんどん、相手が嫌がるくらいいきたいなと思います」
もし相馬が先発出場するとすれば、左サイドが濃厚。持ち味であるドリブル突破のみならず、攻守にわたる献身性や、試合中のシステム変更にも対応できる万能性も備えている。そして、コスタリカ代表の攻撃を寸断する守備でも具体的なイメージを描けている。
「スペイン代表戦ではセンターバックから結構(ロングパスを)蹴り込んでいた印象でした。センターバックのところ(へのプレス)は大切になる。もちろん(セカンドボールの)回収もしていきたいとし、サイドバックに入った時はハメどころでチャンスだと思うので、狙っていきたいと思います」
中盤を使ったビルドアップがあまり得意でないコスタリカ代表は、ディフェンスラインからのロングボールを活用した攻撃を展開してくる。ピッチに立ったら、相馬はセンターバックから蹴られたパスのこぼれ球にいち早く反応して回収することや、サイドバックを自由にさせず狙い通りのプレーをさせないことを意識するつもりだ。
もちろん自分がヒーローになりたいという思いも「高まっている」と、25歳のウィンガーは言う。出番のなかったドイツ代表戦でチームメイトたちの活躍から大きな刺激を受け、モチベーションは最高潮だ。
「仲間が素晴らしい試合をして、僕はベンチから声で支えることしかできなかったです。でも、大会前からどの立場になってもチームのために動こうと思っていました。コスタリカ代表戦で出場することがあったら、次はピッチで示したいと思っています」
カタールワールドカップでベスト8進出という目標を達成するために、自分の全てを捧げる覚悟ができている。大会が間近に迫ってから本格的に日本代表チームの一員となった相馬が「どの立場になっても…」という気持ちで、どんな状況でもチームに尽くしたいと感じるのは、今の日本代表が素晴らしい一体感でまとまっているからだ。
「いい意味で、全員が対等。思ったことを何でも言い合える関係ができています。コーチングスタッフも含めて、全員の力で勝とうという一体感があるので、すごく素晴らしいチームだなと思います」
日本代表への強い思いをプレーに乗せ、相馬はサイドを駆ける。遅れてやってきたヒーローが、勝利の立役者となるための準備は整った。
(取材・文:舩木渉)