【試合展望】日本はトップ下の活躍が鍵か、初戦スコアレスドローのクロアチアはカナダとの対戦で初勝利を目指す

 カタール・ワールドカップ(W杯)の大会8日目は、日本代表が第2戦でコスタリカ代表と対戦する。決勝トーナメント進出に向け、ぜひとも勝利を手にしたいところだ。同組では初戦で日本に敗れて崖っぷちのドイツ代表がスペイン代表とのW杯優勝国対決に臨む。これらの試合を終えた時点で、日本やスペインの決勝トーナメント進出やドイツの敗退が決まる可能性がある。前回3位のベルギー代表はモロッコ代表、準優勝のクロアチア代表はカナダ代表と戦う。

■日本×コスタリカ
グループE第2戦
キックオフ:現地時間11月27日13時(日本時間27日19時)
放送・配信:テレビ朝日系、ABEMA
注目選手:MF南野拓実、MF鎌田大地(日本)、GKケイラー・ナバス(コスタリカ)

 初戦でドイツに勝利した日本だが、試合展開は前半はドイツの攻撃を日本が一方的に守り、後半はドイツから積極的にボールを奪いにいってリズムを好転させたもの。このゲームでは日本がボールを持つ時間が初戦よりは長くなると見込まれるだけに、速攻だけではない攻撃が求められる。多少のメンバー入れ替えも見込まれる中、トップ下でプレーする時間がありそうなMF南野拓実やMF鎌田大地が攻撃の最終局面で見せるプレーが日本の勝利につながるのではないだろうか。

 コスタリカは初戦でスペインに0-7の大敗。日本戦の前日会見でも終始そのゲームに対する質問が浴びせられていた。戦術的なこともさることながら、精神的な立て直しが必要な状況では守護神で経験豊富なGKケイラー・ナバスがチームに与える影響も大きいだろう。日本の森保一監督も「高い位置からプレスに来るのか、いつも通りに守りを固めるのか」と、どちらの出方もあり得ると予想していたように、試合への入り方やどの時間帯から勝負を掛けてくるのかが注目される。

■ベルギー×モロッコ
グループF第2戦
キックオフ:現地時間11月26日16時(日本時間26日22時)
放送・配信 テレビ朝日系、、ABEMA
注目選手:FWロメル・ルカク(ベルギー)、DFノゼア・マズラウィ(モロッコ)

 スター軍団ベルギーだが、初戦のカナダ代表戦ではPKを与えて先制のピンチを招いた。GKティボー・クルトワの好セーブで事なきを得たが、不安定な大会への入りになった。FWミシー・バチュアイは幸先の良い決勝ゴールを奪ったが、ベルギーのエースはやはりFWロメル・ルカクだろう。負傷を抱え初戦の欠場は確定的だったが、このゲームでは時間限定だったとしてもピッチに立って今後の本格的な戦いに備えていきたいところだ。

 モロッコ代表は同じアラブ圏のカタール開催ということもあり、多くのサポーターからの大声援を受けている。初戦のクロアチア戦では左サイドバックを務めたバイエルン・ミュンヘンのDFノゼア・マズラウィが負傷交代。このゲームに復帰できるのかはモロッコにとって大きな懸念材料だ。堅守が武器になるのは初戦で証明されている。相手ボールの時間も長くなりそうだが、一撃必殺のカウンターを発動できるか。また、このゲームは日本の山下良美審判員が第四審判を務める。

■クロアチア×カナダ
グループF第2戦
キックオフ:現地時間11月27日19時(日本時間28日1時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:FWアンドレイ・クラマリッチ(クロアチア)、アルフォンソ・デイビス(カナダ)

 クロアチアの初戦はモロッコを相手にどこかピリッとしない試合になった。37歳のMFルカ・モドリッチらの経験豊富な実力者たちは健在だが、最終的にゴール決められるかどうかというところではFWイバン・ペリシッチやFWアンドレイ・クラマリッチが仕上げの部分で力を発揮することが求められる。また、初戦は途中出場だったがMFロブロ・マイェルは次世代のクロアチアで中盤を担う逸材と目される。この大会で世代交代をアピールできるか。

 バイエルンでプレーするカナダ最高のスターであるDFアルフォンソ・デイビスは、初戦では悔しいPK失敗があった。バイエルンでは左サイドバックだが、代表チームでは対戦相手によって最前線でプレーすることもある。勝利が欲しいクロアチア戦で、どのポジションで出場するかも注目ポイントだ。場合によっては試合中にポジションを変える可能性もある。ベルギー戦で披露した洗練された現代サッカーはクロアチアを倒すポテンシャルを十分に感じさせている。

■ドイツ×スペイン
グループE第2戦
キックオフ:現地時間11月27日22時(日本時間28日4時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:FWニクラス・フュルクルク(ドイツ)、MFセルヒオ・ブスケツ(スペイン)

 日本に番狂わせを許して敗戦スタートのドイツは敗退危機で大一番を迎える。ハンジ・フリック監督が日本戦の敗因の一つに決定力不足を挙げたように、今月に入ってFWティモ・ヴェルナーが負傷欠場することになったドイツはストライカー不足に苦しむ。絶対的に勝利が欲しいゲームだけに、日本戦で途中出場した今季のブンデスリーガで二桁ゴールしているFWニクラス・フュルクルクの起用法は注目だ。追い込まれた強豪がゲルマン魂を見せつけるか。

 初戦で衝撃の7得点大勝のスペインは、非の打ち所がないスタートを切った。ドイツが圧力を強めることが予想される中で、中盤の底に鎮座する経験豊富なMFセルヒオ・ブスケツが見せるゲームコントロールが注目される。ルイス・エンリケ監督が前日会見で「できるだけ敵陣でボールを保持したい」と話したように、自分たちがボールを持つことでドイツの攻撃回数を減らしてゲームを安定させるのがスペインの狙い。それが実現されるかが勝利へのカギになるだろう。

【グループ展望】グループE日本は勝利で大きくグループ突破に前進、グループFはベルギーが一歩リード

■グループE
1位 スペイン 勝ち点3(得失点差+7)
2位 日本 勝ち点3(得失点差+1)
3位 ドイツ 勝ち点0(得失点差-1)
4位 コスタリカ 勝ち点0(得失点差-7)

 日本とスペインは勝利した上でもう1チームが引き分け以上の結果を残すと決勝トーナメント進出が決まる。逆に、ドイツとコスタリカは敗戦した場合には敗退が決まる可能性がある。両者とも生き残りをかけた高いモチベーションで臨むことになるだろう。最終戦にスペイン戦を残す日本は、是が非でもここで勝ち点6に伸ばしておきたい。先に日本戦が行われるスケジュールからも、日本が勝利を収めればスペインの得失点差を考慮するとドイツにはさらに大きなプレッシャーが掛かることになる。

■グループF
1位 ベルギー 勝ち点3(得失点差+1)
2位 クロアチア 勝ち点1(得失点差0)
2位 モロッコ 勝ち点1(得失点差0)
4位 カナダ 勝ち点0(得失点差-1)

 ベルギーは勝利すれば決勝トーナメント進出を決めることができ、もう1つのカードが引き分けに終われば首位通過も決まる。最終戦のクロアチア戦に突破を持ち越さないためにも、ここで決めておきたい。一方のクロアチアは逆の立場で、ベルギー戦の勝利が突破の絶対条件という状況を避けるためにも勝利が欲しい試合になるだろう。モロッコとカナダは引き分けに持ち込むことができれば最終戦に現実的な可能性も残る。強豪を相手にしぶとい戦いを見せたいところだ。(FOOTBALL ZONE編集部)