FIFAワールドカップカタール2022に臨むセルビア代表。その裏で、同国サッカー協会に処分が下る可能性があるようだ。26日、イギリスメディア『BBC』が報じている。

 報道によると、24日に開催された「ブラジルvsセルビア」の試合前に、セルビアの代表チームがロッカールームにて物議を醸す旗を掲げていたとのこと。その旗には、コソボの領土をセルビアの国旗で塗りつぶすように表現し、その上に「降伏しない」という言葉が書かれていたと伝えられている。

 これを受け、25日の時点でコソボ・サッカー連盟(FFK)は声明を発表。「このようなショーヴィニズムの行為は、スポーツイベントには存在せず、世界のサッカーの最大のイベントが行われる施設内ではさらに少ないため、FFKはFIFAの他のすべてのメンバーと同等のメンバーとして、この機関に、人々の間の憎悪を扇動し、人間の価値に反する行動に対する制裁措置を実施するよう要求する」としている。

 また、「この行為が沈黙のままで終わることは容認出来ず、FIFAがその規則を厳格に実施し、この攻撃的な行動とサッカーが伝える価値観に反するセルビアサッカー連盟を罰することを強く要求する」とも付け加えた。さらに、コソボのスポーツ大臣を務める、ハイルラ・チェク氏も自身のTwitterにて、「セルビアの憎悪、外国人嫌悪、大量虐殺のメッセージに対するFIFAからの具体的行動を期待している」とツイートしている。

 なお、FIFAも懲戒規定第11条「攻撃的な行動とフェアプレーの原則の違反」であり、「スポーツ以外の性質のデモンストレーションのためにスポーツイベントを使用すること」、およびトーナメントでのチームの責任に言及する2022年ワールドカップの規則の第4条に基づいて開始したと報道されている。

 コソボは2008年に、セルビアからの独立を宣言。日本やアメリカ、イギリスなど113か国が独立を承認しているが、セルビアやスペイン、ロシアや中国などは独立承認をしておらず、セルビア領土の一部であるコソボ・メヒトヤ自治州とみなしている。

 この影響を受け、コソボは国同士の緊張を避けるため、UEFA及びFIFA主催のコンペティションではセルビア並びにボスニア・ヘルツェゴヴィナとは対戦しないという配慮がなされている(他にはアルメニアとアゼルバイジャン、ウクライナとロシア、ウクライナとベラルーシ、ジブラルタルとスペインもこの対象に含まれる)。

 セルビアは第2戦でカメルーンと対戦した後、3試合目はスイスと対戦。このスイスにも、コソボにルーツを持つMFグラニト・ジャカ、ジェルダン・シャキリがいるだけに、国同士の緊張がピッチにまで流れ込んでこないことを祈るばかりだが…