優勝候補ベルギーがW杯で苦戦、司令塔が発したコメントが物議に発展
ベルギー代表の中心選手であるMFケビン・デ・ブライネが英紙「ガーディアン」のインタビューで自国のカタール・ワールドカップ(W杯)優勝の可能性を「ノーチャンス」と語ったことが物議を醸している。デ・ブライネはチームの高齢化を理由として挙げたが、イングランド1部マンチェスター・シティでかつて同僚だったパブロ・サバレタ氏がこうした発言に苦言を呈している。英紙「デイリー・ミラー」が報じた。
“レッドデビルズ”の愛称で知られるベルギー代表。デ・ブライネをはじめ、エデン・アザールなどの台頭により代表チームはこの10年余りで一気に世界のトップチームへと成長。W杯では14年ブラジル大会でベスト8に進出。15年にはFIFAランキングで1位に浮上した。そして前回の18年ロシア大会では優勝候補と目されたなかで過去最高を更新する3位に輝いた。
今大会も優勝有力国の1つであることは確かだったが、キャプテンのアザールは所属するスペイン1部レアル・マドリードで出場機会を得られず、エースのFWロメル・ルカクは負傷によるコンディション不良のままで開幕を迎えるなど懸念材料も少なくはなかった。
そしてカナダ代表との初戦を1-0で制して白星スタートしたベルギーだったが、続く第2戦ではモロッコ代表に0-2と完敗。FIFAランキング22位のモロッコと同2位のベルギーで数字の上ではベルギーが“格上”ではあったが、内容的にはモロッコがベルギーを完全に上回るものだった。
この痛恨の黒星のあと、デ・ブライネの“高齢化”発言が注目を集めた。31歳の司令塔はW杯前に行われたと見られる英紙「ガーディアン」のインタビューで、ベルギーのカタールW杯優勝の可能性について「僕らのチャンスは2018年だったと思う。(今回は)ノーチャンス」とし、その理由として「僕らは年を取り過ぎている」と語っていた。
モロッコ戦のスタメンを見ると、GKティボー・クルトワ(30歳)、DFトーマス・ムニエ(31歳)、DFトビー・アルデルヴァイレルト(33歳)、DFヤン・フェルトンゲン(35歳)、MFアクセル・ヴィツェル(35歳)、デ・ブライネ(31歳)、E・アザール(31歳)と7人が30歳以上。残る4人のうち、MFトルガン・アザールとFWミシー・バチュアイも29歳と確かに平均年齢は高めと言える。
元アルゼンチン代表DFのサバレタ氏、デ・ブライネの主張に…
しかし、元アルゼンチン代表DFのサバレタ氏はデ・ブライネの主張に苦言を呈している。
「最高の選手たちが出てきて『このW杯はノーチャンスだ。チームは歳を取り過ぎている』なんて言っている。そんなことを言えば、グループのメンタリティーに影響を与えるだろう。あれほどの選手たちが国のために戦わないのは本当に悲しいことだ。ベルギーについて私が最も心配しているのは『選手たちがもう以前のようなチームではない』と言っていることだ。それはW杯に持ち込むべきメンタリティーではない」
さらにサバレタ氏はベルギーについて「クロアチアやウルグアイと比べれば、高齢化に対する不満は聞こえてこない」としたうえで、「サッカーの世界で31、2歳は高齢なのか? クロアチアを見ろ。モドリッチは37歳だ。ペリシッチ(33歳)やロブレン(33歳)もいる。ウルグアイのスアレス(35歳)やゴディン(36歳)、カセレス(35歳)は『我々は高齢のチームだ』と不満を言うような選手じゃない」と語り、かつての同僚デ・ブライネの発言に真っ向から反論していた。(FOOTBALL ZONE編集部)