東京五輪、練習試合で得た情報を基に気概を吐露
2021年に行われた東京オリンピックの準決勝で、U-24日本代表はU-24スペイン代表に延長の末0-1で敗れ、悲願だったメダル獲得を逃した。あれから1年が経ち、今度はカタール・ワールドカップ(W杯)の舞台で、日本のA代表とスペインのA代表が対戦する。
日本はこの試合に勝てば決勝トーナメント進出が決まるが、敗戦すれば敗退は確定。引き分けた場合は、同時刻に行われるドイツ代表とコスタリカ代表の試合の結果次第になる。
東京五輪を戦ったメンバーの一人であり、今回のW杯のメンバーにも入っているMF堂安律(フライブルク)は、第2節のスペイン対ドイツを見たうえで、スペインの印象について「やっぱりボールを保持したがる国のスタイルだと思う」と語り、「ボールを持たれるのではなく、持たせながら守備をする時間が長くなると思う。コスタリカ戦もそうだったのですが、僕たちはボールを取った後の質が少し悪かったので、スペイン戦はボールを持つ時間が短くなる分、そのクオリティーがもっと重要になってくる。取った後、僕たちがどれだけ攻撃の時間を増やせて、うまくカウンターでチャンスを作れるかが課題かなと思います」と、大一番を展望した。
また五輪の準決勝だけでなく、直前の親善試合(1-1)でもスペインと対戦した堂安は「クオリティは違えど、スタイルは分かっているつもりです。国を背負ってオリンピックの時も戦いました。そこで負けた以上、同じ相手に1年で2回も負けられない。覚悟を持って挑みたい。ラッキーなことに親善試合でもやらせてもらっている。2試合やっている分、スタイルは分かっていますし、もちろん力の差は見せつけられたところはありましたけど、結果を見れば延長までいって0-1で敗れた。逆に自信になるところも、あの結果にはあった。それはチームメイト、日本代表のメンバーとコミュニケーションをとりながら、勇気を与えられる情報は伝えられると思う」と、自身の経験もチームメイトに還元しつつ、今大会の2勝目を目指していく考えを示した。
個人の意気込みとしては「本当にこの4年間準備してきたことを出すだけ。みんなに『真のエースだな』と思わせるには、結果しかないので、その準備をするしかない」と、ドイツ戦の同点ゴールに続く、ビッグマッチでのゴールを誓った。
そして、五輪で敗れた悔しさを頭の片隅に置きながら戦うとも語った。
「マインドセット的には、正直、持ち込んではいけないかなと思う。やっぱり五輪とW杯は別物なので、持ち込むことが冷静さを失ったり、悪影響を及ぼす可能性もある。でも自分の性格上は、少しその情報が入っている方が、イライラを覚えて体が動く可能性はある。頭の片隅に怒り、悔しさを個人的には持っていきたい。個人的には絶対に忘れないでおこうと思う」
ドイツに勝ったことで、スペインの日本に対する警戒も高まっている。それでも、自称『逆境大好き人間』は、「最高の状況でありますし、これを楽しめるかどうかは分かりませんが、結果が出た時に批判してくれている方を含めて、全員で喜ぶイメージはできている」と、勝利だけを見ている。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)