日本代表は27日、カタール・ワールドカップ第2戦でコスタリカ代表と対戦し、0-1で敗れた。ドイツ相手の白星発進が衝撃的だっただけに、ファンの落胆も小さくはない。だが、まだ何も終わってはいない。ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が、コスタリカ戦を振り返りつつ、未来へと目を向ける。
■スペイン戦で期待の日本代表選手
――スペイン戦で期待する選手は誰ですか。
大住「久保建英!」
後藤「三笘薫。三笘のドリブルしかないよ。ふつうにやって点を取れるような相手じゃないからこそ、三笘のドリブルが効くと思う。スペインがずっとボールを握って攻め続けることになるんだろうけど、お互いにどうしても点が取れなくて困ったなという展開になって、残り15分で三笘が出てきてドリブル突破で1点取って勝つ。それが一番あり得るんじゃないかな」
大住「三笘は突破するだけじゃなくて、自分で点を取れるからね。最終予選で交代出場から得点して、ワールドカップ行きを決めたオーストラリア戦のようにね」
■勝つ確率は3分の1
――そこまで0-0で進めたいですね。
後藤「0-0で試合が進むというのは、いい加減ではなく、根拠があって言っていることですから。去年は現在のフル代表の主力の一部が出場してきた東京オリンピックの準決勝で対戦して、延長後半まで0-0で進められた。十分に同じ展開になる可能性はあるわけですよ。スペインがボールを持って攻めていてもなかなか点が入らず、そこで一発何かが起こるかどうかという試合になるんじゃないかな。それに、コスタリカ戦では7点取ったけれど、最近のスペインはずっと得点力不足だった。UEFAネーションズリーグでも、ずっとボールを持って攻めているけど、点が取れないという試合が多かった」
――勝つパーセンテージは、どのくらいだとみますか。
後藤「期待感を込めて、3分の1くらいかな」
――日本がスペインとドイツと10回試合をして何回勝てるか考えた場合、勝率が高くなる相手はどちらかでしょうか。
後藤「ドイツの方が高いだろうと思っていました。今はドイツの調子が非常に悪いから。大会前からずっと、ドイツには勝てそうだけど、スペイン相手には難しいよ、と言ってきたでしょ」
大住「スペインの方がやりやすそうな面はあるけど、どうかなあ」
後藤「ただ、コスタリカ戦の後にスペインとドイツの試合を観戦したんだけど、スペインもチーム状態はよくなさそうだった。得点力不足に加えて、セルヒオ・ブスケツも含めて守備陣にもミスが目立った。ドイツがそれほどプレスをかけていたわけでもないのに」
■縁起の良い土地
大住「ひとつ、ポジティブな要素もあるよ。スペイン戦の会場になるハリファ・インターナショナル・スタジアムは、日本が今大会初戦でドイツに勝った場所だからね。優勝した2011年のアジアカップの決勝の舞台でもあるし、日本にとっては縁起の良いスタジアムだよ」
後藤「そうだね。1993年のアメリカ・ワールドカップ最終予選では、韓国にも勝ったんだから。“ドーハの悲劇”もあったけど、イラクと引き分けたのは、アルアリ・スタジアムでのことだった。そのイラク戦に至るまでの4試合は全部ハリファで戦って、北朝鮮にも勝ったし、韓国戦に至っては完勝だった。オリンピックやワールドカップへの出場が懸かった、いわば“タイトルマッチ”で韓国に勝ったのは何年ぶりという試合で勝ったわけでしょ。そう考えると、ハリファは良い場所なんだよ。だから勝てるというわけではないけれど、選手たちが多少なりとも良いイメージを持ってスペインとの最終戦に臨めることは間違いないよね」
大住「そう思ってほしい。思い込んでほしい」
後藤「森保一監督には、そう思い込ませてほしいよね」