【専門家の目|玉田圭司】日本の攻撃に欠かせない三笘の起用法へ見解

 森保一監督率いる日本代表は、カタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第2戦でコスタリカ代表と対戦し、0-1で敗れた。ドリブル突破からチャンスメイクを果たすなど攻撃面で存在感を放つMF三笘薫の起用法について、W杯2大会連続出場経験を持つ元日本代表FW玉田圭司氏は「もうジョーカーじゃない」と、持論を述べている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 日本はグループ初戦のドイツ代表戦(2-1)から先発5人を変更。ボールを保持しながら相手の堅い守備の打開を図った。しかしこの策は結果的に裏目に。脅威を与えられるような効果的なパスワークは見られず、コスタリカの守備をこじ開けられないまま迎えた後半36分、隙を突かれる形で決勝ゴールを許した。

 最低でも勝ち点1が欲しかった一戦で、痛恨の敗戦を喫した日本。5割近くのポゼッション率、相手の3倍以上となる14本のシュート数をマークしながらも、1点が遠い厳しい試合内容だった。そんななかで唯一、可能性を感じさせたのが後半17分からピッチに立った三笘だった。

 後半36分、相手に痛恨の先制点を許したあと、敵陣左サイドから果敢に仕掛けたなかで、終盤には2度のチャンスシーンを演出。そのうちの1つ、同43分の場面では相手を振り切りペナルティーエリア左に進入した流れから鎌田大地のシュートへとつなげており、改めて打開力を秘めたドリブル突破が脅威になることを示した。

 ドイツとのグループ初戦でも、同点ゴールの起点となる仕掛けを見せており、今大会でも日本に欠かせない戦力として存在感を示す三笘。グループ突破が懸かる強敵スペイン戦を12月1日(日本時間2日)に控えるなか、“先発待望論”が徐々に熱を帯びている。

 W杯2大会連続出場経験を持つ玉田氏は、三笘の突破力を「日本の武器」だと指摘したうえで、改めて戦力的価値の大きさを強調。W杯最終予選でのA代表デビュー後、幾度となくチャンスに絡んできたアタッカーを「もうジョーカーじゃないと思っている」といい、日本代表で途中起用が続く状況に疑問を呈している。

「スタメンで出て当たり前の選手。もちろん、途中起用で怖さを与えられる側面もありますけど、プレミアリーグでも先発で十分仕事ができるのを証明している。結果も出して、相手の脅威にもなってますよね。そういう選手をなぜスタメンで使わないのか分からない。もはや、エースと言っても過言ではない存在。議論の余地なしです」

 決勝トーナメント進出が懸かるグループ最終節で、果たして日本は強敵スペイン相手にどのような戦いを見せるのか。三笘の起用法を含め、森保監督の決断に注目が集まる。

[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役引退を引退した。(FOOTBALL ZONE編集部)