質のいいタレントを揃えている

CLやEURO、W杯と近年の大舞台で結果を残しているチームの共通点はその戦術だ。圧倒的に試合を支配するというよりは、堅守速攻型のチームが多く、クラブでいえば昨季のレアル・マドリード、2018年にロシアでW杯を勝ち取ったフランスはカウンターが強力だ。

そういったチームは守備も強力で、簡単に失点しない。大事な試合ではさらにその力を発揮し、攻守両面で相手を圧倒する。

まだ不安定な部分はあるかもしれないが、今のイングランドはそんな優勝国に近いものを感じることができる。

ガレス・サウスゲイト監督就任後、力をつけてきたイングランドは前述したロシア大会で4位、続くEURO2020ではイタリアに敗れたが、2位と輝かしい成績を残した。

今大会、始まるまでは不安要素が多く、パフォーマンスが心配されていた。だが始まってみると、初戦でイランを粉砕。2戦目はアメリカに攻め手をなくしたが、3戦目はウェールズを3-0で打ち破った。3試合で9ゴール2失点と素晴らしい成績で決勝トーナメント進出を決めている。

今のイングランドはまさに堅守速攻型のチームであり、攻守両面での強度が高い。直近のウェールズ戦が分かりやすく、イングランドの球際の強さは異常だった。どちらのボールでもないフィフティーフィフティーの場面ではイングランドの選手がウェールズの選手よりも早くセカンドボールに反応しており、そこから強烈なカウンターを繰り出す。身体能力の高い選手が揃っており、強度、切り替えの早さでウェールズを圧倒する。

イングランドは守備も機能しており、失点はイラン戦の2つのみ。1つはPKであり、流れから失点したのはイラン戦の1失点目だけだ。そのゴールもメフディ・タレミを褒めるべき素晴らしいゴールであり、イングランドの守備は安定している。

しかも交代選手の質が非常に高い。ウェールズ戦では後半からジャック・グリーリッシュ、キーラン・トリッピアー、カルヴィン・フィリップス、トレント・アレクサンダー・アーノルド、カラム・ウィルソンと続々と実力者が投入され、イングランドは試合を終わらせることに成功した。

ラウンド16ではセネガルと対戦するイングランド。セネガルはエースであるサディオ・マネを欠いており、イングランドの8強入りは目前だ。