カタール・ワールドカップ(W杯)でドイツ代表は1勝1分け1敗に終わり、ロシア大会に続いて2大会連続のグループステージ敗退となった。この事実は大きな衝撃を与えている。

 そんななか、ドイツのTV局『ARD』が行なったコスタリカ戦後のインタビューが話題を呼んでいる。インタビュアーはエスター・セドラチェクさん。同局でサッカーを担当している37歳の女性アナウンサーだ。

 現地紙『BILD』などによれば、試合後にセドラチェクさんはドイツサッカー連盟で代表チームのマネージャーを務めている元ドイツ代表オリバー・ビアホフに鋭い質問を連発。ビアホフが「今大会の現状には怒りと失望を感じている」と述べるや否や、「誰に対して怒りを感じているのですか?」と切り込んだ。

 ビアホフは具体的な人物を挙げることはなかったが、「ここ2~3年、試合で不用意に相手にアドバンテージを与えてしまうことが続いている」とコメント。セドラチェクさんは「あなたが責任を取るべきと言う声もある。(ハンジ・)フリック監督は続投するのか。誰が今後を保証するのか」と切り込むと、元ドイツ代表FWはたじたじ。「敗戦直後なので自分の立場について考えていなかった。(在任している18年間で)3つの悪い大会があれば、私は何も言えない。批判は受け止めなければいけない」と述べた。
【画像】元ドイツ代表ビアホフもたじたじ! インタビューで鋭い質問と飛ばす “美しすぎるアナウンサー”
 
 また、同性愛や多様性を訴える『OneLove』運動についても言及。カタール国内ではこうした活動が認められず、国際サッカー連盟(FIFA)の判断で虹色の腕章着用は見送られたが、ドイツ代表の選手たちは“意見を言わせない”決断に反抗する意志を示し、日本戦の前に口をふさいだ姿で集合写真を撮影した。この行動を促した連盟の決断にも疑問の声が上がっている。

 セドラチェクさんが「『OneLove』運動は今回、その役割を果たせたかと思うか?」とストレートに質問すると、ビアホフは口をつぐんだ。だが、「あなたの立場から見て、もっとうまくやれたのでは?」と重ねて問われると、「同感としか言いようがない。もっといいものができたはずだ。間違いなく」と力なく返答した。

 このインタビューはドイツ国内で大きな反響を呼び、『Sport BILD』のヘニグ・ファイント記者は「傑出したインタビュー。責任者全員に的確で厳しい質問をした」と絶賛。フットボールファンからは「彼女の質問は、ドイツ全土が回答を求めているものだ」「最高のスポーツジャーナリスト」「セドラチェクは国民の怒りを表している!」「ジャーナリスティックに最高レベル。ブリリアント」といった称賛の声が上がった。

 今大会の不甲斐ない結果に、ドイツ国民ば不満なのは明らかだ。フリック監督の今後については現時点では何も発表されておらず、今後のドイツサッカー連盟の動向が注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部