スペイン戦後に号泣、吉田に慰められたロッカールームシーンが話題に

 カタール・ワールドカップ(W杯)で2大会連続のベスト16進出を決めた日本代表。その中心選手として、グループリーグの全3試合で活躍したのが、DF板倉滉(ボルシアMG)だった。

 DF吉田麻也(シャルケ)とともに最終ラインの中央を固め、3バックでも相手に対して強い守備を見せた板倉だったが、スペイン代表戦(2-1)で今大会2度目の警告を受け、決勝トーナメント1回戦は累積警告で出場停止に。スペイン戦後のロッカールームで肩を落として泣いているところを吉田に「滉、泣くなよ早いぞ!」「もう一個勝つんだよ!」と声をかけられたシーンがFIFA公式映像で流れ、SNSで広く拡散された。

 スペイン戦から2日経ち、決勝トーナメント1回戦のクロアチア代表戦に向けて、トレーニングを再開した日本代表。練習を終えた板倉は、ミックスゾーンで取材に応じて、この舞台裏の続きを教えてくれた。

 自身が出場停止となるクロアチア戦に向けて「チームを信じているし、絶対にいける気しかしない。チームのみんながやってくれる。僕はサポートに回って、みんなが次の試合に勝ってくれると信じているので、逆にその次の試合でみんなを助けられるような状態に仕上げていきたい」と言い、初の8強進出をチームメイトたちに託した。

 そして、「あの時、麻也くん、俺が累積で次に出られないって知らなかったんです」と吉田は板倉が勝って喜んで泣いているのだと勘違いしていたのだと明かした。「イエローをもらった瞬間、次は出られないことが分かっていましたけど、そこでブレることはなかったですし、やるべきことはこのチームを勝たせることだと思っていたので、そこはブレずに最後までいきました。ただ、試合の最後の方に『うわ、次、出られないな』というのは出てきましたが、変にプレーに影響することはありませんでした」と、プレーへの影響は否定した。

 普段はめったなことでは泣かないと板倉は言う。

「試合に負けても泣かないし、あんまり泣けないんですけど……。それこそシャルケが昨シーズン2部リーグ優勝して1部昇格をずっと目指していて、それを達成できた時ですら泣いてなかった。ただ今回は、もちろん嬉しかったのもありますけど、それよりも出られない悔しさ、その思いが強かった。今まで日本がベスト8に行ったことがなくて、次の試合が勝負になるなかで、そこで出られない悔しさが試合直後はありました。

 試合直後、泣きそうだったんですけど、上を向きながら『泣くなよ、泣くなよ』と思っていたんです。『絶対に泣かない』と思っていたんですけど、最初に一発目(南野)拓実くんがブワーッて来てくれて、そうしたら急に涙が止まらなくなっちゃって。でも、今はもう次(準々決勝)に向かって準備をしたいと思うし、ここにいるメンバーだったら、間違いなくやってくれると信じている。全力でサポートしたいなと思います」

 今大会の森保ジャパンは、先発出場する選手も、途中で投入される選手も、ベンチにいる選手もチームのために一丸となって戦っている。クロアチア戦ではチームを支える側に回る板倉だが、ブラジル代表と韓国代表の勝者と対戦する準々決勝に勝ち上がれば、再びチームを力強く最後尾から支えてくれるはずだ。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)