【専門家の目|玉田圭司】クロアチア代表とのラウンド16を見据えた戦い方とは?

 森保一監督率いる日本代表は、カタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第3戦でスペイン代表に2-1の逆転勝利を収め、2大会連続となる決勝トーナメント進出を決めた。優勝候補の一角を相手に大健闘を見せたなか、かつて、名古屋グランパスや柏レイソルで活躍し、W杯2大会連続出場経験を持つ元日本代表FW玉田圭司氏は、クロアチア代表とのラウンド16を見据え「先制点を奪われても“いける”という考え方は違う」と持論を述べている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 スペイン戦で3バックを採用した日本は前半、FWアルバロ・モラタにヘディングシュートを決められ失点。劣勢を凌ぐ展開で前半を折り返したなか、後半頭からMF三笘薫、MF堂安律を投入した采配が的中し、後半3分に堂安のミドルシュートで追い付くと、同6分には三笘のクロスをMF田中碧が押し込んで2-1と逆転した。

 このまま勝利した日本は、グループ首位でベスト16入り。12月5日(日本時間6日)に行われるラウンド16で前回のロシアW杯準優勝国・クロアチア代表との対戦が決まったなか、この一戦のポイントとして玉田氏は「一発勝負の決勝トーナメントはグループリーグのようなスタンスで臨むと危険」と、見解を示す。

「日本はドイツ代表戦、スペイン戦とも先制されてから目覚めるような展開になりました。相手の攻勢を凌いで、なんとか最少失点に抑えた結果、逆転勝利につながったと思うんですけど、決勝トーナメントはそうはいかないんじゃないかなと。先制点を奪われても“いける”という考え方は違うと思っています」

 ベスト16に進んできたチームは、言うまでもなく強者揃い。一発勝負ということもあり「先手を打つ戦い」が8強進出への鍵になるのではないかと、玉田氏は見ている。

「ロシアW杯のベスト16で日本は2点のリードを奪いながらベルギーに逆転されているので、今大会では先制したなかでどうやって戦うのか、守り切るのかというのも1つのポイントかなと。そのような状況で勝利できれば、今後の日本サッカーに生きてくるはずので、個人的には勇敢な戦いに期待したいです」

 今大会のクロアチアは、グループリーグを負けなし(1勝2分)で突破した。中盤には37歳のMFルカ・モドリッチを筆頭に、MFマルセロ・ブロゾビッチ、MFマテオ・コバチッチら実力者を揃えるだけあり、玉田氏は「厄介な存在」だと指摘。それでも、「(グループリーグ第3戦目の)ベルギー戦ではスペースを与えてくれるような印象も受けたので相性は決して悪くない。伊東(純也)選手、三笘(薫)選手のスピードを生かす戦い方ができれば理想的です」と、期待を寄せた。

[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役引退を引退した。(FOOTBALL ZONE編集部)