ヴァリジッチ記者は「50%/50%の試合になるはず」と予想
カタール・ワールドカップ(W杯)に出場している日本代表は、現地時間12月5日に決勝トーナメント1回戦のクロアチア代表戦に挑む。キックオフ前3時間前のメディアセンターは、すでに両国のメディアだけでなく、世界中のメディアが集まって満席状態。そのなかでクロアチア国営ラジオ&TV局「HRT」のマルティナ・ヴァリジッチ記者に日本代表の印象を聞いた。
日本はこれまでクロアチアとW杯で2回対戦し、1998年のフランス大会では0-1と敗れ、2006年のドイツ大会では0-0で引き分けた。今大会で日本のコスタリカ代表戦(0-1)とスペイン代表戦(2-1)を取材したというヴァリジッチ記者は、日本に特別な感情を抱いているという。
「私たちは、日本をとてもリスペクトしているわ。あなたたちのチームは、ドイツ、スペインを破ったの。世界中のどの国が入っても、突破することが困難だったあのグループを首位で通過したのだから、誰も過小評価なんてできない。この試合もどうなるかなんて、誰も予想できない。50%/50%の試合になるはずよ」
森保ジャパンの印象について、「日本はクロアチアに似ていると思う。より強い相手との試合になると、力を発揮できる。それは私たちと同じなの。この試合は両チームの力が拮抗していて、私たちの力が少し上回っているくらいだと思うから、本当に難しい試合になると思う。どうなるか、本当に分からないわ」と話した。
クロアチアの強みとしては、中盤のスペイン1部レアル・マドリードのMFルカ・モドリッチ、イングランド1部チェルシーのMFマテオ・コバチッチ、イタリア1部インテルのMFマルセロ・ブロゾビッチに注目が集まりがちだ。だが、ヴァリジッチ記者は若手がしっかりと育っていることを強みに挙げた。
「中盤の3人は私たちの重要な選手たち。でも、同時にDFヨシュコ・グヴァルディオールのように素晴らしい若手も育ってきている。彼は本当にとてつもないスターになって、現在の若手で世界的にも最も将来を嘱望されているストッパーになったわ。そういう次世代の選手たちが出てきている」
クロアチアは若手も起用か
前回のW杯では、決勝トーナメント進出後、ラウンド16でデンマーク代表に1-1(PK3-2)、準々決勝で開催国ロシア代表に2-2(PK4-3)、準決勝でイングランド代表に2-1(延長)と120分間の試合を3試合行って、決勝に勝ち上がった。驚異的な勝ち上がりと最後まで戦える精神を示した。今大会では、中心選手たちも高齢化が進み、日本代表チームからは「試合時間が長くなれば優位になると考えている」という声も聞かれた。
しかし、ヴァリジッチ記者は「監督はこの試合に若手も使うと思うわ。DFボルナ・ソサ(シュツットガルト)が病気だし、FWマルコ・リヴァヤも下げるから、若い選手が出てくるはず。2人の若手が出ることでフレッシュで、彼らが走れるはずよ」と話した。
そして、準々決勝進出チームの予想については「本当に分からないし、私は日本が好きだから予想は勘弁して。昨年の東京オリンピックに行ってから、日本に恋してしまったの。だから個人的には、本当に日本以外の他チームと戦ってほしかった。あなたたちの国、日本が大好きなの」と言う。
クロアチア国内では「ラウンド16が日本戦になったのは、宝くじに当たったようなもの」という報道もあったが、「そうね。でも、誰も過小評価はしていないし、日本をリスペクトしている。間違いないのは、素晴らしい試合になるということよ」と、最後まで日本を高く評価してくれた。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)