モロッコの勢いは本物なのか

FIFAワールドカップ・カタール大会の特徴は波乱の多さだ。サウジアラビアがアルゼンチンを破ったことから始まり、日本のドイツ・スペイン撃破。オーストラリアはデンマークを、韓国はポルトガルと、欧州の強豪を倒した。

しかしその後のラウンド16の結果は順当だ。日本はクロアチア撃破まであと一歩迫ったが、結果は負けだ。

ラウンド16のカードはあと2つ残っている。モロッコ対スペインとポルトガル対スイスである。

モロッコはベルギー、クロアチア、カナダのいるグループFを首位通過している。未だ無敗であり、失点も1と少ない。ワリド・レグラギ新監督がチームをまとめており、強いチームとなってこのカタールにやってきた。

16強に残るだけあった攻守両面でいいタレントが揃う。ハキム・ツィエクとアクラフ・ハキミの右サイド、センターフォワードにはユセフ・エン・ネシリがいて、左サイドのソフィアン・ブファルも悪くない。中盤ではソフィアン・アムラバドが評価を上げており、「3つの肺を持つ男」と呼ばれ運動量の豊富さを称賛されている。GKのヤシン・ブヌは名手として知られており、普段のセビージャでもビッグセーブを連発する。

スペインはこのダークホースを退けることができるのだろうか。モロッコは前述した通り、攻守両面で充実しており、セットプレイでの怖さもある。決勝トーナメントでのセットプレイは重要であり、日本はグループステージでアイデアを隠していた。モロッコがさらなる工夫でゴールに迫れば、モロッコの8強入りはある。

ポルトガルとスイスはほぼ同格か。FIFAランクでは9位と15位であり、それほど変わらない。タレントの質でいえばポルトガルが優位だが、フランスやブラジルに比べれば完成度は劣る。スイスはグループステージで良い戦いを見せており、スイスが勝つ可能性は十分にある。

波乱だらけから、一気に波乱なしと順当になってしまったW杯・カタール大会。やはり面白いのは番狂わせであり、モロッコに注目だ。