現役時代にバルセロナやインテルなどで活躍した元カメルーン代表FWサミュエル・エトー氏が、暴行騒動を謝罪した。

 問題となっているのは、5日に行われたFIFAワールドカップカタール2022・決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)でブラジル代表が4-1で韓国代表を下した試合後の出来事。ファンとの記念撮影に応じていたエトー氏だが、カメラを構えた男性が近づき言葉を交わすと、同氏は憤慨しながらその男性に詰め寄り、ひざ蹴りしている様子が動画で拡散されていた。

 イギリス紙『デイリーメール』によると、エトー氏を挑発したのはアルジェリア人のYouTuberだった模様で、今年3月にカメルーン代表がアルジェリア代表にW杯最終予選で勝利したことが起因になっているという。

 アルジェリア代表はこの試合を裁いていたガンビア人のバカリ・ガサマ主審の判定に不正があったとの不満を訴え、国際サッカー連盟(FIFA)に再戦を要求したものの、FIFAはこれを拒否していた。しかし、この判定に納得のいっていないアルジェリア人の男性がエトー氏に同試合の前に審判に賄賂を渡したのかと聞いた後、同氏は冷静さを失ったことが伝えられている。

 この騒動を受け、エトー氏は自身の公式SNSを更新。「12月5日、ブラジル対韓国の試合後におそらくアルジェリア人のサポーターと見られる男性と激しい口論になった。冷静さを失い、私の性格に合わない反応をしてしまったことを謝罪したい。今回の不祥事について公に謝罪したい」と声明を発表した。

「私は一部のアルジェリア人サポーターたちによる執拗な挑発と日々の嫌がらせに抵抗し続けることを誓う。実際、3月29日にブリダで行われたカメルーンとアルジェリアの試合以来だ。私は何の根拠もなく、侮辱や不正行為の申し立ての対象になってきた。このW杯の間、カメルーンのファンはアルジェリア人から同じように嫌がらせを受け、悩まされてきた」

「アルジェリアの敗北の仕方は残酷だったが、私たちのスポーツのルールと倫理に基づいたものだった。アルジェリアサッカー連盟による抗議もすべて却下されている。したがって、私はアルジェリア当局と連盟には、この不健康な状態に終止符を打ち、より深刻なことが起こらないように求める。フェネック(アルジェリア代表の愛称)のファンたちへ。平和を見つけ、背後にある辛い敗北の失望をなんとか乗り越えることができることを願っています」