先日クライマックスを迎えたFIFAワールドカップ・カタール2022。世界を巻き込むビッグイベントであり、多くの選手がここで知名度を上げる。
今回はそのワールドカップや欧州選手権において、意外な形で知名度を上げたカルトヒーローを取り上げよう。
オレグ・サレンコ
代表:ロシア
大会:1994年ワールドカップ
ロシア代表でわずか8試合しか出場していないオレグ・サレンコであるが、そのなかで6つのゴールを決めた。しかもそのうち5ゴールは1994年ワールドカップで記録したもの。さらにカメルーン戦1試合のみで全てを叩き込んだ。
この1試合で5ゴールという記録は今も破られていないもの。しかも決勝トーナメントに進むこともできなかったのに得点王を獲得している。
サイード・アル・オワイラン
代表:サウジアラビア
大会:1994年ワールドカップ
1994年のワールドカップで大会初出場を果たしたサウジアラビア。グループFに入ったチームはモロッコとベルギーを撃破して決勝トーナメントに進出した。その中で「ワールドカップの歴史上最もすごいゴールの一つ」がきまった。
ベルギーを相手に自陣でボールを奪ったサイード・アル・オワイランは、それから4人の選手を抜き去って69メートルをドリブルで突進。そのまま自分でゴールを決めてみせた。まるでマラドーナのようなプレーであった。
イルハン・マンスズ
代表:トルコ
大会:2002年ワールドカップ
日本と韓国で開催された2002年ワールドカップは、良くも悪くも多くの話題に彩られた大会だった。その中で奇妙なものの一つがトルコ代表FWイルハン・マンスズの大ブレイクだ。
一介のサブアタッカーに過ぎなかった彼であるが、その整った容姿がメディアで大きな話題となり「イルハン王子」として人気を集めることに。2004年にはヴィッセル神戸に加入してさらに大きな話題になったが、わずか3試合しかプレーしなかった。
アン・ジョンファン
代表:韓国
日韓ワールドカップでなんと4位という素晴らしい記録を残した韓国。しかしその勝ち上がりを巡っては様々な事件があった。一つはイタリア戦やスペイン戦での不可解なジャッジである。
そしてもう一つが「韓国のベッカム」と呼ばれていたアン・ジョンファン。アメリカ戦では冬季五輪での判定を皮肉るゴールパフォーマンスをして物議を醸し、当時セリエAでプレーしていたためにイタリア戦でゴールデンゴールを決めたときには「もう帰ってくるな」と非難の的になった。
デニウソン
代表:ブラジル
大会:2002年ワールドカップ
日韓ワールドカップで優勝したブラジル代表チーム。様々なスターが目白押しのメンバーで、エースのロナウドの大五郎ヘア、新星ロナウジーニョの超絶フリーキック、さらにトルコ戦でのリヴァウドのボールぶつけられ事件と話題に事欠かなかった。
ただカルトヒーローと言えばデニウソンしかいない。ブラジルのドリブル野郎として知られた彼は、トルコ戦の89分にボールを渡されると時間稼ぎでキープ。なんと4人の相手選手を振り回してみせた。
アンゲロス・ハリステアス
代表:ギリシャ
大会:EURO2004
EURO2004でサプライズを起こしたギリシャ代表。名将オットー・レーハーゲルに率いられたチームは徹底的な堅守速攻で「つまらないが負けない」サッカーで勝ち進み、ホスト国のポルトガルを破って優勝を果たした。
そのエースであったアンゲロス・ハリステアスはこの活躍で大ブレイクしたものの、その後その勢いは長く続かなかった。ちなみに現在いはアリス・テッサロニキのディレクター。
マルコ・マテラッツィ
代表:イタリア
大会:2006年ワールドカップ
マテラッツィをカルトヒーロー扱いするのは間違っているとは思うが、とにかく2006年ワールドカップのハイライトはジネディーヌ・ジダンの頭突きが全てであったといっても過言ではない。
そのジダンに頭突されたのがイタリア代表のマテラッツィだった。このような事態になったワケは、彼が姉に関する侮辱的なコメントをしたためだとされる。
エマニュエル・エブエ
代表:コートジボワール
大会:2010年ワールドカップ
アーセナルで活躍したことで知られているコートジボワール代表DFエマニュエル・エブエ。彼のキャリアにおいて「ピッチ外のハイライト」と選ぶとすれば、間違いなくこの2010年ワールドカップだ。
グループステージで北朝鮮代表と対戦した時、相手の監督キム・ジョンフン氏が選手に対して行っていた指示に頷く素振りを見せ、世界のサッカーファンに笑いを届けた。
ティム・クルル
代表:オランダ
大会:2014年ワールドカップ
オランダはこの大会、準々決勝でコスタリカと対戦。120分を戦って決着はつかず、試合はPK戦に突入することになった。
そして試合の終了直前、なんとオランダのファン・ハール監督はGKヤスパー・シレッセンを交代させ、ティム・クルルを投入。ワールドカップにおいて初めての「PK専用ゴールキーパー」起用となった。彼はそれに応えて3本をセーブし、勝利に導いている。
エデル
代表:EURO2016
EURO2016でのカルトヒーローといえば、颯爽と現れてポルトガル代表を優勝に導いたFWエデルを差し置いて他にはいない。
準決勝までの6試合で一度も先発出場がなく、もちろんノーゴールだった。しかしフランス代表相手の決勝戦では、0-0で迎えた79分にレナト・サンシェズと交代してピッチに入り、延長戦で見事な決勝ゴールを叩き込んだ。