日本代表がまたしてもラウンド16の壁を越えることができなかったカタールワールドカップ。

しかし、ドイツ、スペインという優勝経験のある欧州の強豪に勝利しグループ1位で突破できたことは、紛れもなく「新しい景色」だった。

そんな今大会において、評価を上げた日本代表選手を6名ピックアップした。

三笘薫

三笘薫

日本サッカーに新たなスターが誕生した瞬間だった。

初のワールドカップで全4試合に出場。いずれもピッチに立ったのは後半からだったが、大会屈指の“ジョーカー”として日本の攻撃を引っ張るさまは圧巻だった。

代名詞のドリブル突破はもちろん、スペイン戦ではゴール前を抜けていったボールを最後まで諦めず、ライン際1ミリで折り返すスーパーアシストを記録。

得点をした田中碧とは幼馴染の仲。「鷺沼兄弟」と呼ばれる彼らが試合後、無邪気に喜び合う姿に日本代表の未来を見た人も多いに違いない。

堂安律

堂安律

直前でメンバー落ちした原口元気の背番号8を受け継ぎ、カタールの地で躍動。

ワールドカップデビューを果たしたドイツ戦で値千金の同点弾を決めると、ラウンド16進出がかかったスペイン戦でも後半から出場し、すぐさま豪快なミドル弾。3分後の逆転ゴールも堂安がゴール前に送ったボールからだった。

最終予選では一時メンバーから外れ、「逆境大好き人間頑張りまーす!」とSNSに投稿したことが話題に。苦しい状況をバネに飛躍した姿に、森保一監督率いる日本代表が重なった。

前田大然

前田大然

今大会の日本代表でキーマンとなった選手の一人だ。スコットランドで活躍する25歳は、持ち前の圧倒的なスピードで相手にプレッシャーをかけ続けた。

スペイン戦では62分の出場で62本、クロアチア戦に至っては64分の出場で68本のスプリント(!)を記録。さらにはゴールまで決めてみせた。

「できること」は突出しているだけに、今後は「できないこと」をどこまで改善していけるか。自身のキャリアもそこにかかっている。

権田修一

権田修一

所属する清水エスパルスが無念のJ2降格。その中心選手がワールドカップでレギュラーを務めることに対して疑念を抱くファンも多かったが、パフォーマンスで黙らせた。

4試合を通して安定したプレーを披露。クロアチアとのPK戦では輝くことができなかったが、そもそも権田がルカ・モドリッチのミドルシュートを防いでいなければそれ以前に敗退していただろう。

懸念されたハイボールやビルドアップも問題なくこなし、日本代表の守護神としての役目をしっかりと果たした。

谷口彰悟

谷口彰悟

ワールドカップ初出場となるスペイン戦を前に「痺れますね。こんなシチュエーションなかなかないですよね」とJFAのTeamCamで語っていた31歳。

国内の川崎フロンターレでの経験しかないセンターバックがクロアチア戦を含めフル出場したことで遺したものは、Jリーグでプレーする選手たちに大きな勇気を与えたに違いない。

日常からの高い意識と完璧な準備。それがあれば、日本に居ても世界と戦える。

浅野拓磨

浅野拓磨

森保監督でなければ間違いなく今回のワールドカップ出場はかなわなかったはずだ。それほど9月に負った右ひざの怪我は重いものだった。

しかし、懸命のリハビリを経て大会直前に復帰。ドイツ戦で出場機会を得ると、何でもないロングパスを日本中に歓喜をもたらす決勝弾へと変えてみせた。

【関連記事】日本人選手、欧州から見た市場価値が今季もっとも上がった10人

試合後、「悔しいことも嬉しいこともムカつくことも全てが今日、この瞬間に繋がってる」とSNSに綴った浅野。彼の想いもまた、日本代表に強さをもたらした。