引き締まったインテンシティの高い試合
MATCH 58 準々決勝
2022年12月9日18:00キックオフ(会場:エデュケーション・シティ・スタジアム)
クロアチア 1-1(PK 4-2)ブラジル
ついに始まるワールドカップのベスト4をかけた戦い。準々決勝1つ目の対戦カードでは、ラウンド16で日本代表をPK戦の末に破ったクロアチア代表と、韓国代表を圧倒したブラジル代表が激突した。
ともに中3日で臨むこの一戦だが、前試合で120分の激闘を余儀なくされたクロアチアに対して、ブラジルは前半のうちに大差をつけたことで主力を早々と温存した。疲労面を考慮すると、優勝候補大本命のブラジルがやや有利か。そんな中、クロアチアは日本戦からスタメンを2名変更し、DFボルナ・ソサとMFマリオ・パシャリッチが名を連ねている。一方のブラジルは、韓国戦からスタメンの変更はなしとなった。
クロアチアボールでキックオフされた試合は、立ち上がりから両チームともに球際で激しさを見せており、一進一退の攻防が繰り広げられる。クロアチアはルカ・モドリッチを中心にリズムを作りながらサイドを起点に、ブラジルは巧みな個人技とパスワークを駆使してゴールを狙いく。ただ、双方ゴール前まではボールを運ぶものの、なかなか均衡を破るまでには至らない。
今大会はアディショナルタイムが長めとなる傾向がある中、前半のATは1分。これを見てもわかるとおり、非常に引き締まったインテンシティの高い試合だ。ちょっとしたミスも許されない緊迫した状態が続き、スコアレスのままハーフタイムを迎えている。
諦めない心で掴んだ土壇場の同点弾
後半に入って立ち上がりから仕掛けたのはブラジルだ。キックオフ直後から立て続けに決定機を作るも、守護神ドミニク・リバコビッチを中心としたクロアチアの粘り強い守備を前に、ゴールをこじ開けることができない。
その後もブラジルペースで試合は進んでいくが、前回のロシアW杯で2度のPK戦、1度の延長戦を制して決勝までコマを進めたクロアチアにとってこれは十八番の戦い方で、むしろ計算通りの展開か。クロアチアの集中力の高さやハードワーク、最後の粘り強さには目を見張るものがあり、90分では決着がつかず。
延長戦に入ると、両チーム疲労の影響もあってか、やや荒れたプレイも増える。100分を過ぎたあたりから徐々にオープンな展開となると、この長きにわたる均衡をついに破ったのがブラジル。延長前半AT、クロアチア陣内の中央で受けたネイマールが2度のワンツーを駆使しながら中央突破。スルスルと抜け出し、最後はGKもかわしてシュートを叩き込む。クロアチアの狙い通りの展開ではあったが、カナリア軍団の10番を背負うエースがそれを打ち破ったのだ。なお、ネイマールはこの2戦連続となるゴールで、ペレ氏が持つブラジル代表最多ゴール記録「77」に並んでいる。
ただ、この苦しい時間帯にリードされても最後まで決して心が折れないのがクロアチアだ。後ろの選手を削り、前に人数をかけて迎えた117分、直前に投入されていたミスラフ・オルシッチが左サイドから持ち込んで中央へクロス。これをブルーノ・ペトコビッチがダイレクトで合わせる。DFに当たったボールはゴールに吸い込まれ、クロアチアが土壇場で試合を振り出しに戻した。
このまま終了のホイッスルが吹かれ、クロアチアは2戦連続で得意のPK戦へ。すると、日本戦で神がかったセーブを何度も披露したGKリバコビッチが、いきなり1人目のロドリゴをストップ。先攻のクロアチアは4人目まで全員がゴールを決めたのに対し、後攻のブラジルは4人目のマルキーニョスもポストに嫌われて失敗した。この結果、PK戦のスコアが4-2となり、粘り強い戦いを披露したクロアチアがベスト4進出を決めた。一方、ブラジルは2大会連続のベスト8敗退が決まった。
[スコア]
クロアチア 1-1(PK 4-2) ブラジル
[得点者]
クロアチア
117分 ブルーノ・ペトコビッチ
ブラジル
105+1分 ネイマール
[ポゼッション]
クロアチア 44% ブラジル 41% 中立 15%
[シュート数]
クロアチア 9 ブラジル 19
[枠内シュート]
クロアチア 1 ブラジル 11
[イエローカード]
クロアチア 2枚
マルセロ・ブロゾビッチ
ブルーノ・ペトコビッチ
ブラジル 3枚
ダニーロ
カゼミロ
マルキーニョス
[レッドカード]
なし
[ラインナップ]
クロアチア
フォーメーション:[4-3-3]
監督:ズラトコ・ダリッチ
GK
ドミニク・リバコビッチ(ディナモ・ザグレブ)
DF
デヤン・ロブレン(ゼニト/ロシア)
ボルナ・ソサ(シュトゥットガルト/ドイツ)
ヨシュコ・グヴァルディオル(ライプツィヒ/ドイツ)
ヨシップ・ユラノビッチ(セルティック/スコットランド)
MF
マテオ・コバチッチ(チェルシー/イングランド)
ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード/スペイン)
マルセロ・ブロゾビッチ(インテル/イタリア)
FW
イヴァン・ペリシッチ(トッテナム/イングランド)
アンドレイ・クラマリッチ(ホッフェンハイム/ドイツ)
マリオ・パシャリッチ(アタランタ/イタリア)
交代出場
72分 アンドレイ・クラマリッチ→ブルーノ・ペトコヴィッチ(ディナモ・ザグレブ)
72分 マリオ・パシャリッチ→ニコラ・ヴラシッチ(トリノ/イタリア)
106分 マテオ・コバチッチ→ロヴロ・マイェル(レンヌ/フランス)
110分 ボルナ・ソサ→アンテ・ブディミル(オサスナ/スペイン)
114分 マルセロ・ブロゾビッチ→ミスラフ・オルシッチ(ディナモ・ザグレブ)
ブラジル
フォーメーション:[4-3-3]
監督:チッチ
GK
アリソン・ベッカー(リヴァプール/イングランド)
DF
ダニーロ(ユヴェントス/イタリア)
チアゴ・シウバ(チェルシー/イングランド)
マルキーニョス(パリ・サンジェルマン/フランス)
エデル・ミリトン(レアル・マドリード/スペイン)
MF
カゼミロ(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ルーカス・パケタ(ウェストハム・ユナイテッド/イングランド)
ネイマール(パリ・サンジェルマン/フランス)
FW
リシャルリソン(トッテナム/イングランド)
ハフィーニャ(バルセロナ/スペイン)
ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード/スペイン)
交代出場
56分 ハフィーニャ→アントニー(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
64分 ヴィニシウス・ジュニオール→ロドリゴ(レアル・マドリード/スペイン)
84分 リシャルリソン→ ペドロ(フラメンゴ)
106分 エデル・ミリトン →アレックス・サンドロ(ユベントス/イタリア)
106分 ルーカス・パケタ→フレッジ(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)