ブラジルはPK戦の末にクロアチアに敗戦
カタール・ワールドカップ(W杯)の準々決勝で、ブラジル代表がクロアチア代表に敗れる波乱が起きた。試合はスコアレスのまま延長戦に突入すると、ブラジルが延長前半15+1分にFWネイマールのゴールで先制。しかし、クロアチアも延長後半12分にFWブルーノ・ペトコビッチの同点弾で追いつくと、PK戦で4-2の勝利を収め、2大会連続の準決勝進出を決めた。
この結果を受けて、このあとにオランダ代表との試合を控えていたアルゼンチン代表のサポーターは大盛り上がり。たまたま、「インタビューをさせて」と声を掛けた一団には「ダメだ。俺たちのカミさんたちは、俺たちがここにいることを知らないんだ」と、取材を拒否された。
そこで今度はカップルのアルゼンチンから来たというファンに声をかけると、ファビオさんが取材に応じてくれた。ブラジルが負けた感想を聞くと、「ファンゾーンにある大型ビジョンで試合を見ていたんだけど、みんな大盛り上がりさ! ブラジルが敗退だ! これで俺たちにとっては楽になった!」と、準決勝での決戦を回避できたことを喜んだ。「ブラジルとの試合は名勝負になるし、見たかったのでは?」と聞くと、「とんでもない! ブラジルはいつもいないほうがベターだ」と、敵対心よりも、リスペクトしたうえで敗退を喜んでいる様子だった。
続いて、匿名を条件に取材に応じてくれた3人組のうち1人は、「残念だよ。ブラジルはとてもいいチームだし、今大会のベストチームだった」と言ってから吹き出し、「そんなわけがない! 優勝するのはアルゼンチンだ! ブラジルは、ゴー・ホームだ! バイバーイ」と、こちらはライバルの敗退を心から喜んでいた。
また、メキシコ戦に続き、アルゼンチン戦の観戦だというマルティナさんは、「ブラジルのことも応援していたから、ちょっと残念。でも、準決勝で当たらなくて済むのは助かったわ。とにかく私たちが勝てないと意味がないから、今日の試合はしっかり勝ってもらわないと」と話していた。
アルゼンチンとオランダの試合が行われるルサイル・スタジアムでは、両チームのスターティングメンバーが発表され、10番FWリオネル・メッシの名前が呼ばれると、会場は大割れんばかりの歓声に包まれた。南米の二大巨頭のうちの1つであるブラジルが敗退となったが、アルゼンチンは準決勝に歩みを進めることができるだろうか。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)