準々決勝からカタール入りしたロジャーさんとオシアさん親子を直撃
2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)で、史上初のグループリーグ敗退となったドイツ代表。4年後のカタールW杯は、リベンジの場になるはずだった。ところが、グループE第1節の日本代表戦に1-2で敗れると、その後、スペイン代表と1-1で引き分け、最終戦でコスタリカ代表に4-2で勝利を収めたが、日本とスペインに及ばずに2大会連続1次リーグ敗退となった。
日本中が歓喜した一戦となったが、この日本の勝利を同じように喜んだ人たちがいた。イングランドだ。イングランド代表の躍進を信じて、準々決勝が始まる12月8日にカタール入りしたというロジャーさんとオシアさんの親子は、「勝てると思うよ」(オシアさん)、「若い選手が多いしいけると思う」(ロジャーさん)と、1966年大会以来2度目となる優勝に自信を見せた。
前回大会でもベスト4に進出しているイングランドは、準々決勝で優勝候補のフランス代表と対戦するが、敵視しているドイツの凋落は喜ばしいようだ。
日本がドイツに勝った結果について聞くと、ロジャーさんは「ファンタスティック! ロンドン中が大喜びだったよ。本当に素晴らしいことだった。日本はよくやってくれた」と、会心の笑顔を見せた。
実は、イングランドはドイツを敵視しているが、ドイツ側はそこまでイングランドを気にしていない。というのも、1966年イングランドW杯の決勝(4-2)でドイツに勝利したイングランドだが、その後はビッグトーナメントでドイツに勝てない時期が続いた。元イングランド代表FWギャリー・リネカー氏の「サッカーはシンプルなゲームだ。22人の男が90分間ボールを追いかけ、最後はドイツが勝つ」という名言を口にしているが、煮え湯を飲まされた相手という意識がイングランドにはあるのだ。
日本中が歓喜に沸き、世界中が驚いた森保ジャパンのドイツ撃破は、そうした背景からドイツを強烈に意識しているイングランドでも、痛快な出来事として非常にポジティブに見られていたようだ。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)