稀代のスーパースターが珍しくみせた勇ましい姿に、誰もが驚かされた。

 現地12月9日、カタール・ワールドカップの準々決勝でアルゼンチンとオランダが対戦。前者が2-2からのPK戦を制して凱歌を上げたが、両チーム合わせて18枚のイエローカードが飛び交い、あわや大乱闘になりかねないトラブルが相次ぐなど、大荒れのゲームとなった。

 そして試合後、フラッシュインタビューに応じたアルゼンチン代表のFWリオネル・メッシが、生放送中にブチギレる場面も。カメラとは違う方向に視線を送り、「何を見てるんだ、バカ野郎。何見てんだよ! さっさと行け、バカ」と吐き捨てたのだ。視線の先にいたのは、途中出場ながらこの日殊勲の2得点を挙げたオランダ代表FW、ヴォウト・ヴェフホルストだった。

 このシーンには伏線があった。試合が終わって引き上げる際、メッシとヴェフホルストが一触即発の危険なムードに陥った。他のアルゼンチン代表選手もなだれ込んでくるなか、それを制止したのは元アルゼンチン代表FWで、メッシの盟友でもあるセルヒオ・アグエロ氏。米放送局『ESPN』の解説を務めたアグエロ氏は「発端は間違いなく19番(ヴェフホルスト)だ」と明かし、「あいつが『おい、メッシ! メッシ!』と声をかけ、レオ(メッシの愛称)が振り向くと、『こっち来いよ!おい』と激しく言ってきたんだよ。だから俺も気づいたときには我を忘れて飛び込んでいたね」と振り返った。

 そうした流れのままに、フラッシュインタビューの場面があったということだ。

 ではなぜ、ヴェフホルストはそこまで激高したのか。本人が吐露した顛末をスペイン全国紙『Marca』が伝えている。

 試合後に30歳の長身ストライカーはメッシの元に歩み寄り、握手とユニホーム交換を求めた。「フットボーラーとして本当に尊敬していたから」が理由だったが――。「メッシは僕の手を払いのけて、会話すらしようとしなかった。そのうえ、無礼な言葉を浴びせてきたんだ。僕のスペイン語は大したものじゃないけど、十分に理解できた」と告白。そして、「尊敬していただけに、失望したよ。心の底から失望したんだ」と残念がった。
 
 ただ、メッシは「あの途中から出てきた19番はずっと僕たちを挑発していたよ。許されるものじゃない」と話しており、ゲーム中からヴェフホルストの態度を問題視していたという。ちなみにメッシは試合後、オランダ代表のルイス・ファン・ハール監督に詰め寄って「あんたらはしゃべり過ぎだ」と戒めるなど、らしからぬ大胆な行動にも出て物議を醸した。

 いずれにせよ、白熱の名勝負が繰り広げられた一方で、なんとも後味の悪い結末となり、新たな因縁を生んでしまったようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】「何見てんだ、バカ野郎!」オランダ戦後のインタビューでメッシがブチギレる、衝撃の光景をチェック!