現地時間12月10日、カタール・ワールドカップ(W杯)の準々決勝2試合が開催された。第1試合のモロッコ対ポルトガルは1-0でモロッコが、第2試合のイングランド対フランスでは2-1でフランスが勝利を収め、それぞれベスト4に駒を進めた。

 だが、この2試合ではところどころに“空席”が見られた。事前の発表ではいずれの試合もチケットは完売と国際サッカー連盟(FIFA)が発表。それにもかかわらず、ゴール裏以外のスタンドでは空席が目立った。

 英スポーツチャンネル『ITV』によれば、モロッコ対ポルトガルの試合が行なわれたアル・トゥママ・スタジアムは、試合開始のホイッスルが鳴った後も半分以上が空席だった。その理由は「チケットを持たない人がスタジアムに入ろうとしたため」だという。

「スタジアムの外にいるアンガス・スコットのレポートによれば、チケットを持たない何百人ものファンがスタジアムに入ろうとしており、チケットを持っている人が入場に苦労している。こうしたトラブルは今大会初めてで、スタッフは苦心していたようだ。いずれチケットを持っている人が入場すれば、席は埋まるだろう」

 だが、その後も満席にはならないまま、試合は終了。そして、続くイングランド対フランスが行なわれたアル・バイト・スタジアムでも、空席が目立つ状態だった。
 
 この状況に、英紙『Daily Mail』は疑問符を浮かべている。

「主催者であるFIFAが一般チケットは完売したと発表したにもかかわらず、イングランドとフランスの一戦は数千人の空席の前で行なわれ、砂漠のスタジアムは閑散としていた。試合が始まる前、イングランドのファンは、一般チケット完売の試合を見るため、VIPチケットの7500ポンド(約124万円)に手を出さざるを得ない状況に追い込まれていたのに。

 だが、いざキックオフしてみればスタジアムのほとんどのエリアで空席が目についた。6万8995人収容の座席は4分の1以上が埋まっていなかった。観客がまばらなため、集まったイングランドサポーターも、立たずに座って応援し、雰囲気は停滞していた」

 同紙は「先週、FIFAは大会史上最高の観客動員数を記録し、平均96%の着席率を記録したと声高にレポートしていた」にもかかわらず、なぜこのような事態になっているのかという質問状を送付したという。

「地元の人々に飽きられたか? 確かにその見方もある。自国のチームがあまりにもひどいパフォーマンスを披露したため、参加を断念したのではないか。だが、クォーターファイナルでこれほどまで空席が目立つのは異常事態だ」

 果たして、開催地カタールでのサッカー人気は、本当に高まっているのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【W杯PHOTO】アル・バイト・スタジアムに集結したイングランド代表サポーターを特集!