大会21日目は、準決勝の1試合が開催される。前回王者のフランスに、躍進モロッコが挑む一戦(日本時間28時キックオフ予定)だ。
 
 最大の見どころは、グループリーグでベルギーに2-0の完勝を収め、決勝ラウンドでスペイン、ポルトガルを連破してアフリカ勢初のベスト4に勝ち上がったモロッコが、再びジャイアントキリングを演じられるかどうか。
 
 モロッコのストロングポイントは、ここまでわずか1失点と鉄壁を誇るディフェンスだ。唯一喫したその1点もカナダ戦のオウンゴールであり、対戦相手から奪われたわけではない。最終ラインと中盤が緊密なブロックを形成する組織的な守備のクオリティーは、大会屈指だ。
 
 懸念は、そのディフェンスを支えてきたDF陣に怪我人が続出していること。準々決勝のポルトガル戦は左SBのマズラウィ、CBのアグエルドを起用できず、そのポルトガル戦では最終ラインの大黒柱でキャプテンのサイスも肉離れを悪化させて途中交代。おそらくこの3人はピッチに立てないだろう。守護神ボノが当たっているのは心強いが、いわば満身創痍の状態でフランスの攻撃を最後まで凌げるか。
 
 優勝候補の一角であるイングランドを準々決勝で蹴落としてこの舞台にたどり着いたフランスは、チームとしての組織的な完成度がとにかく高く、そのなかでエムバペ、デンベレ、ジルー、グリーズマンらアタック陣が個の能力を存分に発揮。盤石の戦いぶりを、ここまでは見せている。
 
 言うまでもなくフランス最大のキーマンは、準々決勝を終えた時点で今大会最多の5ゴールを記録しているエムバペだ。興味深いのは、このモロッコ戦でおそらく対峙するハキミとのマッチアップ。パリSGのチームメイトで手の内を知り尽くした両者が、世界トップレベルのスピードを武器に繰り広げる攻防は見応えがあるだろう。勝敗にも大きく影響する至高のバトルに注目したい。
 
 1962年大会でブラジルが成し遂げて以来の連覇を狙う王者フランスか、アフリカ勢で初めてベスト8の壁を破りW杯に新たな歴史を刻んだ躍進モロッコか。ファイナルのピッチに立つのは、はたして――。
 
 
【大会21日目】12月14日(水)に行なわれる試合
※対戦カード/キックオフ(日本時間)/放送予定
フランス対モロッコ(準決勝)/28時/ABEMA、NHK
 
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部