ベスト16に終わった今大会のアメリカ
20歳の若さでFIFAワールドカップ・カタール大会行きのチケットを掴んだものの、大会中はあまり出番を得ることができなかったアメリカ代表FWジョバンニ・レイナ。彼がチームに不和を生じさせたことがここに来て大きな問題となっているようだが、アメリカ代表はその問題を無事に解決することができるのか。
今大会のアメリカはグループBを1勝2分の2位で突破したものの、決勝トーナメント1回戦のオランダ戦で3-1の敗北。特に叫ばれていたのが得点力不足で、彼らが4試合で得たゴールはわずかに3。10代の頃からドルトムントでプレイしている若き有望アタッカー・レイナの出場機会をもっと増やすべきだという声もあがっていた。
しかし、レイナが先発出場を果たすことは今大会一度もなかった。途中出場も4試合中わずか2試合のみで、プレイタイムは53分に留まった。
英『The Athletic』によれば、レイナは大会直前に行われた親善試合やトレーニングで著しく集中力を欠いていたようで、これが出場機会の減少に繋がっていたという。その後もこの問題は続き、ベテラン選手たちはレイナとの話し合いを試み、コーチ陣も彼の対処に追われたが、最終的にはグレッグ・バーホルター監督からの指示を受けてレイナがチーム全体に謝罪。これにて事態は一件落着となったようだ。
ところが厄介だったのは、この件に関するバーホルター監督のコメントが外部に漏れてしまったこと。彼は帰国後に出席したイベントで、名前は出さずにワールドカップ中に問題を起こした選手がいたとオフレコで明かしたのだが、手違いでこれが公に出てしまった。“とある選手”がピッチ内外で期待に応えなかったこと、帰国寸前の事態にまで発展したこと、話し合いの末にその選手がチームへの謝罪を受け入れ、問題が解決したことなどが世に知れ渡った。
誰のことを指しているのかは明らかであり、これに対してレイナはInstagramを通じて反応。ワールドカップ直前にバーホルター監督から大会中の出番が限定的になるであろうことを伝えられ、感情的になってしまったとその事実を認めているが、「この件に関する報道が続いていることに失望している(しかも、かなり架空の話もある)し、アメリカ代表のスタッフの誰かがそれに加担したことに非常に驚いている」と述べている。
今大会はレイナの出番こそ少なかったが、エース・FWクリスティアン・プリシッチを筆頭に、ウェールズ戦でゴールを決めたFWティモシー・ウェア、ユヴェントスでプレイするMFウェストン・マッケニー、アーセナルのGKマット・ターナー、リーズ・ユナイテッドやフラムでプレイするプレミアリーグ組など、多くの才能がひしめいている。レイナは「アメリカ代表が2026年のワールドカップで大成功を収められることを願っている」という一文で締めくくっているが、それを実現するためにも、まずは今回の一件を丸く収めることが重要だろう(データは『FBREF』より)。