日本代表はカタール・ワールドカップで2大会連続のベスト16敗退に終わった。ここから再び、4年後の大舞台に向けて熾烈なメンバー争いが繰り広げられていくが、次のW杯までにA代表へ定着しそうな選手は誰か。国内外のサッカーに精通する河治良幸氏に、2026年W杯に臨む日本代表の“理想のイレブン”を訊いた。

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 森保一監督が2026年の北中米W杯の本大会まで率いるかはさておき、現状は別プランを描きようがないので、仮にそうだとして組み立ててみた。その場合、3バックが予選の段階でも使われるかもしれないが、今回は分かりやすく4-2-3-1でイメージしている。

 2列目の三笘薫、久保建英、堂安律は、順調ならカタールの時点よりスケールアップしているはず。三笘はもちろん久保、堂安もさらに個人で違いを生み出せる存在になったうえで、日本らしいコンビネーションも織り交ぜることができたら、列強が相手でも強みになる。

 ただ、すでに森保ジャパンのメンバーである彼らに頼るばかりでは競争が活性化されない。やはり個で勝負できるタレントを積極的に加えていくべきで、若くして欧州でチャレンジしている本間至恩や斉藤光毅は打ってつけだ。
 
 また、2列目はJリーグの選手を含め、多くの候補がいる。ロシアW杯が終わった時点で、何人が今の三笘を想像できていたかという意味では、中村敬斗や古川陽介、熊取谷一星など、荒削りでも伸びてきたら面白い選手は多い。

 その一方で難しいのがFWで、特に1トップであれば世界のスタンダードから見ると、強みとは言えない。これはカタールで対戦したドイツやスペインにも当てはまるが、このポジションはスケール感をもっと大事にしていくべきかもしれない。

 カタールでは悔しい経験をした上田綺世や町野修斗、選外だった原大智や林大地にも期待したいが、やはり2022年のJ2得点王である小川航基が、ポテンシャルに見合った活躍を見せて、満を辞して欧州の舞台で飛躍できていたら第一候補に挙げたい。

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 ただ、やはり本格派のセンターフォワードだけでは型にはまってしまうので、引き続き前田大然のような選手は必要だろう。その前田にしても28歳という年齢になるので、持ち前のプレッシングと裏抜けにプレーの質を加えることができれば、このタイプの第一人者としてカタール以上に頼りになるはず。

 彼に続く新鋭としては、松本の後輩で、U−19代表のエース格である横山歩夢に期待している。

 鎌田大地は前目のポジションもできるが、本人も認める通り、本当にワールドクラスのレベルで勝負するならボランチがベストだ。相棒はポテンシャルが随一の藤田譲瑠チマにしたが、攻守のバランスを考えるなら経験豊富な遠藤航をはじめ、国際経験を積んでいるであろう岩田智輝や、ベルギーで挑戦中の田中聡などと組み合わせるのもありだ。

 このボランチもパリ五輪世代などに有望なタレントが多いので、名前の羅列はしないが、良い意味で驚きをもたらしてほしい。新星の福井太智は前目のポジションもできるが、視野の広さと攻め上がりのセンスを考えるとボランチが理想か。ただし、もっと守備の強度を欧州の環境で高めてもらいたい。
 
 センターバックは冨安健洋と板倉滉の能力が抜きん出ており、年齢的にも深刻な怪我さえなければ、26年のW杯でもファーストセットになると見ている。

 すでにアーセナルというビッグクラブに所属する冨安はCBで活躍できていると頼もしい。板倉はこの1、2年のうちにも、ドイツ1部のボルシアMGでチャンピオンズリーグに出て、活躍すること。マンチェスター・シティが買い戻したくなるぐらいの選手になってくれると期待している。

 フォーメーション図には入れなかったが、伊藤洋輝が左利きのCBとして冨安、板倉を脅かす存在になっていくこと。年齢的には彼らより若い瀬古歩夢やパリ五輪世代の西尾隆矢、鈴木海音、チェイス・アンリなどから1人でも食い込んでくると、かつては世界との差が指摘されたCBが、日本の強みになってくる。


 
 サイドバックは山形から欧州移籍も噂される半田陸を右に抜擢した。1対1の強さに加えてリーダーシップがあり、この2年間で攻撃面の成長も見せた。CBもこなせるので、試合の中で3バックに変更する場合も重宝する。

 左は怪我でカタールW杯を欠場した中山雄太のリベンジに期待する。攻守のアベレージが高く、次期代表の中心になるであろう三笘との相性が抜群であることもアドバンテージだ。

 左SBも若手から台頭してきてほしいが、筆者が面白いと思うのは相馬勇紀のSBだ。国際基準で評価すると、爆発的な走力やシンプルなクロスを活かせるSBで覚醒的な成長を見せるはず。
 
 こればかりは所属クラブの起用法もあるが、名古屋ではすでに左ウイングバックを本職としているので、ここから欧州移籍があるにしても新しいSB像を作れるのではないか。

 GKもカタールW杯に参戦した3人の年齢が高めだったこともあり、息の長いポジションと言っても世代交代が求められる。やはり、このポジションもワールドスタンダードになっていくことが重要だ。

 今大会の最後に「ポテンシャルと言われて、もう30歳(笑)」と自虐的に語っていたシュミット・ダニエルの奮起にも期待しているが、鈴木彩艶は世界のGKと比べても身体能力は引けを取らない。ここから、どういう環境で試合経験を積むか分からないが、ベンフィカ所属の小久保玲央ブライアンとともに、次期代表で早期にスタメンを掴むぐらいの飛躍に期待している。

文●河治良幸