韓国代表DFキム・ミンジェが韓国は日本に比べて海外移籍が難しいとコメント

 閉幕したカタール・ワールドカップ(W杯)で、日本代表と同様に韓国代表もベスト16という結果だった。そのなかで、韓国代表選手が自国と日本を比較して「うらやましい」と発言したことが話題になっている。

 発言の主は、イタリア1部ナポリに所属するDFキム・ミンジェだ。今季セリエAの名門に加入し、リーグ月間MVPに輝くなど活躍を見せ、「アジア最高のセンターバック(CB)」の声も上がる。そんなキム・ミンジェがカタールW杯敗退後、韓国のニュース番組「SBS News」のインタビューで韓国サッカーと日本サッカーを比較する発言があった。

 キム・ミンジェはまず「今回のW杯において、韓国に限らずアジア勢は一定の競争力を示した」としたうえで、「(大会後に韓国代表監督を退任した)パウロ・ベントが、欧州クラブの監督に就任した際に韓国人選手の獲得を考えるだろう。しかし、これは容易でない。韓国人選手が欧州に移籍するのは大変なことで、いろんなことを処理せねばならず、移籍金も比較的高い」と韓国人選手の欧州移籍のハードルの高さに言及。そのうえで、「日本は多くの選手が欧州にいて、競争力を有し、地位を得ている。我々は彼らと比べられる状態でないと思うし、日本がうらやましい」とコメントしたのだ。

 中国IT大手「テンセント」が運営する「騰訊網」も、「韓国人選手で欧州5大リーグにおいて成功した選手は日本ほど多くはない。5大リーグを除いてもポルトガル、オランダ、そのほかのマイナーなリーグでも日本人選手は至るところにいるのと差は大きい」と指摘。さらに、背景にまず兵役問題があることにも触れている。韓国は北朝鮮との関係上、国民男子は兵役に就く義務があり、多くのサッカー選手も20代の働き盛りに数年間兵役に捧げねばならない(例外で兵役免除される選手もいる)。クラブ側からすれば、どんなに優れた選手でも退団して兵役に就かねばならない韓国人選手より、同等の能力ならほかの国の選手を選んでしまう。また兵役免除の対象となるアジア大会、夏季オリンピックへの参加を巡ってクラブと協会が揉めることもある。前述のキム・ミンジェも中国の北京国安在籍時の2021年に東京五輪の韓国代表に招集されたが、クラブ側が拒否した過去があった。

 また韓国メディア「DAUM」によれば、日本人選手に相対して、韓国人選手は移籍金が割高な傾向もある。クラブ側も育てた若い選手を出したがらない傾向があり、何シーズンかすると兵役に行ってしまう。これはサッカーに限らずほかのスポーツでも発生している現象だ。例えば、ギリシャ1部のオリンピアコスに所属するMFファン・インボムも韓国・Kリーグで活躍後、欧州でなくより高額な移籍金を提示したアメリカMLS(メジャーリーグサッカー)のバンクーバー・ホワイトキャップスに移籍した。当然自身の給与や、古巣のクラブに移籍金を残すことも重要だが、日本人選手と比べて韓国人選手は、中国や中東諸国、MLSなど欧州より多少レベル劣るが高給の国へ移籍するケースが多い。

 お国事情が違うのは致し方ないが、そうした困難を乗り越えて、より多くの韓国人選手が欧州挑戦し、日本同様にアジアのサッカーを引き立てていくことを期待したい。(FOOTBALL ZONE編集部)