「FIFA ワールドカップ カタール 2022」は決勝、PK戦にまでもつれる激闘の末に、アルゼンチンがフランスを下し36年ぶりの優勝を果たした。数々のタイトルを手にしてきたメッシが、ついにワールドカップのトロフィーを掲げたシーンは、世界中のサッカーファンが感動した。ABEMA FIFAワールドカップの本田圭佑GMも、大熱戦の決勝に、時には座っていながらも立ちくらみのような感覚に襲われるほど興奮したが、試合後にしばらく時間が経つと「途中から何とも言えない複雑な気持ちが少し溢れてきた。ワールドカップへの思いがさらに改めて強くなった」と、メッシと同じように頂点を目指す者としての悔しさ、さらには自分もまた前に進もうという野心が、ふつふつと沸いてきた。
ワールドカップの中継で、本田GMの解説は大いに話題になった。「自然に自分らしく感じ取っていることを伝える」ことを優先した結果、その自然体な口調がファンの共感を呼んだ。その中でも「サッカーの専門家なので、サッカーのことを厳しく見過ぎたら日本のことをボロクソ言っちゃう可能性がある。自分の言いたいことの7割ぐらいしか言えていない。3割は、言っちゃうと『鬼批判』。サッカーの専門家としての意見だし、日本のサポーターには関係ないこと。そういう見方は伝えていないし、聞こえはよくないので封じておいた」と、日本人・日本のサポーターとして解説し、感情移入してきたと明かした
これまで日本代表のユニフォームを着てピッチに立ってきたが、今回は初めて“外”から見たワールドカップ。解説という一歩引いた立場で見たことで、多くの発見もあった。「こんな風に外の人たちが動いているんだとか、影響力を目の当たりにしてみて、おれはなんてすごい環境でサッカーをさせてもらっていたんだろうと。選手として出なかったことで初めて気付かされた。今度僕はそれを監督としてやりたい。旅が終わっていないので、実現に向けてモチベーションが高まってきていますし、やれるという変な自信はあります」と、新たなモチベーションが生まれてきた。
過去の大会を振り返っても、歴史に残るような大激戦となった今回の決勝。本田GMは放送席で声を枯らした。バロンドールに7回も輝き、世界最高の選手という名を長く持ち続けていたメッシも、今回が最後のワールドカップ。全盛期を過ぎたメッシが、チームメイトの力を借りながら優勝を果たした瞬間に、本田GMは歓喜したが、同時に別の感情が生まれてきた。祝福だけではなく「(メッシが)すごいということよりも、いつか僕も自分であれをやってのけたい」という選手として、もしくは監督としての思いだ。
世界最高峰の舞台を、今までとは違った形で五感で体験した本田GM。次の目標がよりクリアに見えてきた。「監督としても選手の時と同じくらいワールドカップ優勝を目指したい。悔しい気持ちを感じさせてくれる場を与えてくれたことにむしろちょっと感謝しています。(次回)2026年に向けてのアプローチの仕方も、ワールドカップに来る前と今では、ビジョンが変わり始めている。より具体的に、よりアグレッシブに構築し始めている」と、ぼんやりではなくはっきりとイメージできた。解説はもうしないという。やはり本田GMは選手であれ、監督であれ、解説を「される側」としてピッチ上で躍動したい。
(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)