先のカタール・ワールドカップで、ともにラウンド16に進んだ日本代表と韓国代表。FIFA(国際サッカー連盟)は独自の換算方式で全出場国をランク化し、同じベスト16の日本が全体9位の高評価を得たのに対して、韓国は16位にとどまった。
さらに大会後、韓国代表の守備の要であるDFキム・ミンジェの「日本が羨ましい」発言が大きな波紋を呼び、元韓国代表監督のホ・ジョンム氏も「育成年代ではもう数十年前から韓国は日本より劣っている」と言い放って話題を集めた。
韓国メディアの間では常に対抗心が前面に押し出されてきたが、ワールドカップ後はそこかしこから、タブー視されていた日本サッカーへの憧憬や敬意の声が聞こえてくる。シリアスな日韓の比較・検証が続けられているのだ。
そんななか、専門誌『BEST ELEVEN』のパク・グォンウォン記者が「日本サッカーの壮大な到達目標を知っているか?」と題したコラムを掲載した。
同記者は「かつて、日本がワールドカップで準々決勝や準決勝に行くと言えば、何をホラを吹いているのかと、韓国を含めて周辺国は聞く耳さえ持たなかっただろう」と切り出し、「ところがどうだ。もはやそれはホラではなく、実現可能な目標であり、日本はそこに向けて少しずつ近づいている」と論じる。
日本が追い求める到達目標とは、日本サッカー協会が掲げた「JFAの約束2050」だ。パク記者はここをクローズアップし、「彼らは2050年までにもう一度ワールドカップを自国で開催し、その大会で優勝することをゴールに見据えている」と紹介。「そのビジョンは2005年に発せられて以降、長い時間をかけて日本国内で広く共有され、会長が変わっても決してブレていない。実現できるかどうかは分からないが、そこに到達しようとする気概が存分に感じられる。もっと高めようという雰囲気が、日本サッカーの発展に駆動力を与えているのだ」と指摘する。
根底にある確固たるビジョンは、カタール・ワールドカップの森保ジャパンの戦いぶりからも見て取れたという。
「今大会で韓国代表は誇り高いハートを持って、欲していたベスト16という結果を残した。だが、日本は4年前のベルギー戦が1点差の惜敗で、今回はクロアチアを相手に紙一重のPK戦による敗退で、ベスト8に進出してもおかしくないパフォーマンスを披露した。彼らの安定的な発展は明らかな刺激であり、私は焦りを感じてしまう。実際に韓国はA代表のみならず、年代別の代表チームでも日本に勝てなくなっている。いまやアジアを代表しているのは韓国ではなく日本であるという事実は、我が国の外では常識だ。(韓国では)不都合な真実となっているのだ」
加えてパク記者は、「我々は日本サッカーの進化から学ぶ必要がある」と記して、次のように提唱する。
「韓国でももちろん、ユース年代の強化などは積極的に行なわれている。しかしそれらは将来を見据えた長期的なプランではなく、韓国サッカー界全体で共有されてもいない。日本と同じような進化を遂げたいならば、目的意識を一新すべきだ。まずは過去数十年続いている、ワールドカップ本大会に到達するのが目標である点、さらにはワールドカップが終わったらやり直しのアプローチを変えなければならない」
そして最後に、「韓国サッカーにあって、巨視的なゴールやビジョンなどは荒唐無稽だろう。それでも、まずは設定するところから始めるべきだ」と力を込めた。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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