VAR介入判定を試合中にスタジアムの観客に向けて説明、クラブW杯で試験的導入
国際サッカー連盟(FIFA)の審判委員長ピエルルイジ・コッリーナ氏が、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が試合中にスタジアムの観客に向けて判定の説明をする制度についてコメント。テストを重ねていく方針を明らかにした。
現役時代にスキンヘッドの威厳ある名レフェリーとして知られ、当時の世界最強リーグだったイタリア・セリエAやUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でビッグゲームを担当。2002年日韓ワールドカップ(W杯)では決勝戦の主審を務めたコッリーナ氏は、現在はFIFAの要職について審判部門の発展に尽力している。
現在開催中のクラブW杯では、試験的にVARが介入した判定についてスタジアムにアナウンスして説明をする試みがされている。コッリーナ氏は「VARの介入後に主審が下した判定をサッカー関係者、スタジアムにいる観客やテレビの前にいる観客に、より分かりやすく伝えたいという要望があったため、この試みを行うことにした」とコメント。「このクラブW杯は、6つの大陸のチームと観客が参加する多言語大会なので、最適な大会だと考えている」と話した。
そのうえでコッリーナ氏は「ほかのスポーツ、例えばアメリカンフットボールのNFLではかなり長い間、このようなことを行ってきた経験がある。審判たちはかなり慣れているようだ。サッカーでは特に、母国語でない言語でアナウンスしなければならない場合、言葉の問題が出てくるかもしれない。これは簡単なことではないかもしれない。しかし、このアナウンスは非常に簡潔なものなので、審判には納得してもらえると確信している」とコメント。今後、インドネシアで開催されるU-20W杯でもテストされ、オーストラリアとニュージーランドで共催される女子W杯でも導入される可能性があるとした。
FIFAのテストが問題なく好評ということになれば、各国のリーグ戦も含め世界的にこの制度は広がっていくことになる。Jリーグで議論になる判定は少なからず存在するが、VARが介入した判定についてスタジアムにアナウンスされるようになる日が近づいていると言えるかもしれない。(FOOTBALL ZONE編集部)