コンテンツの力で恋愛や結婚のムーブ作りを、価値観に訴える取り組み

――未来ウエディングJAPANはどのような取り組みをされている業界団体でしょうか?また今回のタイアップを決めた背景を教えてください。

堀田:ウエディング業界の維持と発展を目的として設立された団体で2022年に発足されました。今は220社ぐらい加盟しており、主に結婚式場の運営会社が中心となっています。発足当時はコロナ禍でブライダル業界がこの先どうなっていくのかという課題もあったのですが、もっとその先にある日本が今抱えている大きな課題のひとつ・少子化という問題があり、そこに対しても何か業界として働きかけたいという想いも込められています。

 日本の場合は結婚というプロセスを経て子供を持つ選択をしている方が多いので、婚姻数が増えていくことで、少しでもその課題に対して解決していきたいと思いました。結婚はもっと感情的なものなのでムーブアップしていく必要があります。「結婚したいな」「恋愛したいな」といった雰囲気を作っていくために、エンターテインメント性の高いコンテンツとタイアップすることで、よりムーブアップができると思い、今回のタイアップが実現しました。コンテンツの力で恋愛や結婚ムーブが醸成されるようなことをしたいと思ったのがはじまりです。

――そういった背景や想いがあるなかで、今回のタイアップについてどのような提案をしようと考えましたか。

山田:その想いをうかがって企画から様々な提案をさせていただきました。僕らも特に悩んだのが、今回のプロジェクトは未来ウエディングJAPANさんの商品を訴求することではなく、コンテンツを視聴いただいた方々の価値観を変えていくことが目的であるという点です。そういった価値観に訴えるタイアップはなかなか難しく、作り込まれた広告ですと、情緒的に動きづらいのではないかと思います。リアリティのあるコンテンツで、なおかつ作りこまれていないもの、視聴者の心が動くようなものじゃないといけない。それらを踏まえて、今回『さよならプロポーズ』シリーズを提案させていただきました。実際、出演する2組のカップルが結婚するかどうかは最後までわからないのですが、仮に2組とも結婚という決断をしなかったとしても、番組に協賛いただくこと自体は意思決定をいただいています。それは、番組を通して「結婚に向き合うリアル」を視聴者に感じていただくことができるからだと思っています。そして最終的に結婚を決断するカップルがもし決まった場合は、結婚式のプロデュースまでご協力いただくことになっています。

視聴者の気持ちに変化――『挙式したい』が非視聴者の1,5倍、『披露宴をしたい』が2倍に

――未来ウエディングJAPANとしては前シーズンの『さよならプロポーズ via ギリシャ』(シーズン3)からのタイアップとなります。どういうことを重要視されましたか。

堀田:前シーズンでは、実際に参加したカップルが結婚を選んだ場合、その結婚式のプロデュースをさせていただくというタイアップを行いました。なので、ゴールとしてはその結婚式を映したスピンオフコンテンツまで視聴者にちゃんと見届けていただくことです。我々ウエディング業界としては、結婚式はとても大事なことだと考えています。結婚式では2人のこれまでの道のりもそうですが、周りへの感謝が伝わるような、そんな式にしたいという思いがありました。そしてカップルを見守ってきた視聴者の人たちにも読後感としてすごく良かったと思っていただきたい。そういう思いが少しでも伝わるようにたくさん話し合いをさせていただきました。実際にそれが実現できてよかったと思っています。

山田:昔は芸能人の結婚式をテレビ中継する時代があったと思いますが、今はそういうものも少ないですし、キラキラした人たちの結婚式を見てもどこか違う世界のものとして見てしまいます。なので、スピンオフコンテンツでは等身大の結婚式をちゃんと描きたいという思いがありました。あとは応援していたカップルたちがどういう結婚式をしてどんな感情になるのか、視聴者もその様子を見ることで当事者意識を持っていただけたと思います。前シーズンのタイアップで一緒に思い描くデザインができて、本当に良かったなと思っています。

堀田:今回2回目もご一緒したいと思えたのは、前シーズンを視聴された方々からの反響がきちんと数字としても表れていたことでした。視聴者と非視聴者に「結婚したい気持ち」について調査を行ったところ、視聴者の方が「結婚意向度が高い」というデータが得られました。

山田:同様に「挙式や披露宴の実施意向」についての調査も行ったのですが、番組を見た人の方が実施意向が高くなっており、「挙式をしたい」と考えている人は1.5倍、「披露宴をしたい」と考えている人は2倍にもなりました。

堀田:そういうポジティブな声がしっかり届いたので、ぜひ今後もご一緒したいと思いましたね。

山田:実は私もこの場で堀田さんに報告しようと思っていたんですけど…、僕も番組の影響もあり最近結婚しました。

堀田:ええ!?本当に(笑)? 素晴らしい!おめでとうございます! こういう声が聞こえると本当にうれしいです。我々は行政と共に結婚に対しての啓蒙ももちろんやってはいるのですが、こういうリアルな感情が動くというのは、エンターテインメントの力だと思います。もちろんどのような選択をするかは個人の自由なのですが、ドラマを見て恋愛したいと思う気持ちと似ていますよね。めちゃくちゃ成功事例です(笑)。 

 僕らとしては、旅の中でカップルの「結婚」という決断を見届けた視聴者の皆様に、2人の今後にも引き続き注目いただきたいと思っています。最近は結婚式をしない「ナシ婚」という言葉もあり、いろいろな事情で結婚式をしない選択も増えていますが、番組を観ていただくと、出演しているカップルを取り巻く環境において、友人や家族など多くの人たちが密接に関わっています。その人たちに感謝の想いを伝える場を設けるためにも結婚式が持つ役割があると思っているので、今後もそのような想いは引き続き伝えていきたいなと思っています。

視聴者の感情に訴えるために 広告業界が抱える課題とは

――今回の結婚のように世の中の価値観や考え方と密接した商品やサービスの魅力をうまく伝えるには、どういうことがポイントになると思いますか。

山田:サービスというよりも価値観をどう変化させていくか。先ほどの話にも通じるのですが昨今の広告について、広告体験としてクオリティのばらつきが増えていると感じます。広告業界の抱える問題として、広告自体が敬遠されているという課題あり、改めてその価値というのが問われ始めています。そんな中で未来ウエディングJAPANさんとご一緒したプロジェクトは、もはや広告ではなく一緒に作り上げたコンテンツ、つまりアライアンスに近いものになっていると感じるのです。もちろん未来ウエディングJAPANさんはスポンサーではありますが、番組の内容や方向性は「ABEMA」のプロデューサーたちに任せていただいて、だからこそ視聴者の心を動かしやすいものを作り上げられたと思っています。堀田さんから業界のビジョンや信念はしっかりとご共有いただいているので、その想いを背負って一緒に実施させていただく。そしてコンテンツとして楽しんでいただけるものにすることが、「ABEMA」として貢献できるところだと思っています。

 今は結婚した後のドロドロ感みたいなのを映し出すドラマやコンテンツ、ニュースが多いと思うのですが、だからこそ『さよならプロポーズ』シリーズのようなコンテンツはとても大事だと思っています。こういったコンテンツが婚姻数増加/出生率増加に寄与できる可能性があると思います。我々のコンテンツ制作のビジネスが、日本の出生率といった社会課題に寄与しうるというのは、ご一緒する中で僕らも気づかせていただきました。

堀田:今後もこういう取り組みを幅広くしていきたいなと思っています。もちろん、行政との連携で結婚後に対する不安みたいなものを解決できる取り組みはこれからもしていきますが、やはりその前の「結婚したい」「恋愛したい」といった取り組みの方が、より長い目で見ると効いてくると思っています。今は子育て支援などにかなり予算が割かれていますが、結婚を決断するポイントは意外とまだ手薄なんです。経済的な不安やさまざまな理由で結婚を控えている人たちも多いので、そういう不安に対して寄り添い少しでもサポートできるような支援をしていく。そういう啓蒙は引き続きしていきたいと思っています。

堀田和宣

一般社団法人未来ウエディングJAPAN 理事 (株)ピクセル 代表取締役社長

大学在学中に前澤友作氏と共に(株)ZOZOの前進となる(有)スタートトゥデイを創業。1998年に(株)テイクアンドギヴ・ニーズを現会長の野尻佳孝氏と設立し、取締役に就任。03年(株)グッドラック・コーポレーションを設立。

ハワイ、グアム、バリ、沖縄において、ハイアット、ウェスティン、フォーシーズンズ等のブランドホテルとのタイアップを実現し、「アールイズ・ウエディング」をリゾートウエディング業界ナンバーワンへ成長させる。

24年3月、創業20年を機に同社社長を退任。同8月、新たに(株)ピクセルを設立し、世界中の幸せを彩る新たなホスピタリティー事業を展開していく。

山田陸

 (株)サイバーエージェント 常務執行役員 (株)AbemaTV ビジネスディベロップメント本部 本部長

2011年4月(株)サイバーエージェントに入社。2015年4月アメーバ事業本部(現メディア統括本部)メディアディベロップメントディビジョン統括に就任。

2015年10月サイバーエージェント執行役員、2017年10月(株)AbemaTVビジネスディベロップメント本部 本部長に就任(現任)。

2018年12月サイバーエージェント取締役を経て、2020年10月サイバーエージェント常務執行役員に就任(現任)。

「ABEMA」 『さよならプロポーズ』シリーズ

お付き合いをしながらもなかなか結婚に踏み切れない2組のカップルが、7日間の海外旅行を経て、最終日に“結婚”か“別れ”のどちらかを必ず決断しなければならない、最も切なく愛に溢れた結婚決断リアリティ番組。

https://abema.tv/video/title/90-1303

「ABEMA」はテレビのイノベーションを目指し"新しい未来のテレビ"として展開する動画配信事業。

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