
◆ブランド立ち上げから9年目、累計14億杯を突破した人気商品 CMはテレビ主体からWEB主体へ
―はじめに「ブレンディ®カフェラトリー®」スティックがどのようなブランドか、ご紹介お願いします。
伊賀氏:「カフェで過ごすようなご褒美のひととき」をコンセプトに濃密感のある豊かな泡立ち、本格的なカフェの味わいが楽しめる商品として、2016年8月に誕生したブランドです。濃密な味わいと泡立ちが楽しめるラテタイプと、ふわっと香りが広がるティータイプの2つを拡充してきました。9年目ですが累計14億杯を突破し、ちょっとした幸せを手軽に感じられるというお声と支持をいただいています。
宇田氏:もともと「ブレンディ®」スティックが先に発売され、よりカフェの味わいにこだわったラインナップや、より若年のお客様に向けてこだわり感を大事に育ててきたブランドです。ここ数年でのトレンドだと、2020年頃からカフェの限定メニューにも着目して「スイーツシリーズ」という外食カフェでも展開の広がりがある特殊なフレーバー開発にもすごく力を入れました。

―「ブレンディ®」といえば過去からテレビCMでも認知を高められましたが、近年はWEB広告にシフトされたと伺いました。どのような狙いによるものでしょうか。
宇田氏:「ブレンディ®カフェラトリー®」スティック発売時は北川景子さんを起用して、大々的にブランドを知っていただく認知フェーズとして、テレビCMでのコミュニケーションを2022年頃まで積み重ねました。2023年以降は、より“刺さる”お客様にしっかりと照準を合わせて、WEB広告あるいはインフルエンサーさんを介した第三者からの“お墨付き感”やファンのUGCを生むことで“愛飲されているリアルなお声”を印象付けることに注力をしています。

◆人気カフェ商品×声優のタイアップで生まれたものは
―スティックをより知ってもらいたいという相談を受けた際に、ABEMAとしてはどのような考えで提案・実施に至ったのか、経緯のご説明をお願いします。
山田氏:担当代理店とは、味の素AGF様が掲げられているKPIや目標に対して、ABEMAならどういう形で実現できるかを会話させていただきました。ABEMAだからこそできる最大限の価値を考えた時に、マスとして広げるのではなく熱量の高い人気ジャンル周辺でブランド浸透や発話を最大化し、コミュニティを斡旋していくことを提案しようと思いました。その流れで「声優と夜あそび」のタイアップ施策に至りました。
―「声優と夜あそび」という番組を提案したポイントはどこでしたか。
山田氏:たくさんありますが、一番はやはり声優ファンの熱量がとても高いということです。声優さんがこれを飲んでいるから「じゃあ私たちも一緒に飲みたい」というように、同質化したいという思いを持つことが期待されるファンが多いということですね。そういった理由から、味の素AGF様が期待される「棚が動く(購買行動につながる)」という点についても、認知という“点”にとどまらず購買に至る“線”をもたらす可能性があるのではないかと考えました。
宇田氏:アニメや声優さんはXでの発話がすごく多いというイメージでした。そういった分野のアイコンになっている方、発話されている方が「ブレンディ®カフェラトリー®」を飲まれている投稿も多数拝見しており、大きな実態は掴んでいたのですが、そのコミュニティにブランドの世界観や企業側の発信を踏み込むのは結構なチャレンジなので、なかなか手が出せていませんでした。今回のご提案は“お墨付き感”を狙いつつ、ブランドが大事にしてきたコミュニケーションの質を大事にできるバランスが素晴らしく、社内でも「やってみよう」という結論に至りやすかったですし、ABEMAさんの中でも人気番組であること、(今回メインとしたF1、F2層含め)どういうお客様を中心に見られている番組なのかの情報を事前にいただけた点も良かったです。

◆ファンダムに溶け込んだ企画が実現「熱量が連鎖した」
―「声優」というファンダムに飛び込んだ今回の企画でしたが、実際に感じた熱量などは、どのようなものでしたか。
伊賀氏:ちょうどハロウィン期間ということもあり、浪川大輔さんら人気声優さんお二人にコーヒーに関する仮装をしてもらい、さらに目隠ししながら商品を飲んで感想を言ってもらうという、チャレンジングでキャッチーな企画でした。一方的に商品を紹介するのではなく、視聴者の方が興味をかき立てられるような掛け合いも交えながら、みなさんがワクワクして見られる内容でしたし、すごく丁寧に商品の説明もしていただいたおかげで、視聴者のリアルタイムでのコメントも本当に盛り上がりました。声優さんお二人の熱量、ファンの熱量の中に「ブレンディ®カフェラトリー®」を混ぜていただいたような、熱量が連鎖している印象を受けました。当日もかなり異常値とも言えるほど商品に関するコメント、発話があったと伺いました。
宇田氏:「発話を増やす」という点は、Xさんとも意見交換をさせていただくのですが、企業側から投げかけてもなかなか難しいものです。広告感をどれだけ緩和しながら自然にお客様に商品の良さ、魅力を伝えられるかをすごく大事にしてきたので、それがしっかり形になって表れた成果でした。
―人気声優がコスプレしながらコーヒーを飲むという企画は、どこから生まれたのですか。
山田氏:ハロウィンということもあり、番組側で出演者がコスプレをすること自体は決まっていました。せっかくタイアップをいただいたので、番組側で「コーヒーに見立てたコスプレにしよう」となり、その結果がコーヒー豆とラテアートのカップになりました(笑)。

◆広告の粋を飛び越える“等身大のコメント”の力
―過去にタレントを起用した事例と、御社でもあまり例がない声優を起用した今回との違いを感じた部分はありますか。
伊賀氏:簡単に各フレーバーのご紹介をしたのですが、お二人ならではの感想、リアルなコメントを伝えていただけました。「なんでこんなに(意図を)汲み取ってくださるんだろう」とうれしくも不思議に感じたところもありましたね。「熱っ!」とか「泡、やばっ!」とか、短い言葉でもカフェっぽさを伝えていただき、「家でこれ飲めるの!?」など、視聴者にすごくリアルに伝わったと思います。浪川さんが番組内では飲めなかったけれど「これ、気になる」と言ったフレーバーを「逆に私が飲む」というファンの呼応コメントもたくさんありました。本当に見ていた方が気になる、買ってみたいと思うような等身大のコメントをいただけたと思います。
―WEB動画はアーカイブ視聴がメインである中で、今回は生放送でした。生放送ならではの良さについては、どんなものを感じましたか。
伊賀氏:(生放送中に)愛飲している方が「これ、おいしいよね」というコメントもたくさんありましたし、「2人がおすすめしているんだから間違いないわ。買ってみよう!」と番組を見ながら、みなさんと会話しているかのようなコメントも流れていました。後日にはファンのみなさん同士が、自分たちのおすすめを言い合うような交流も見られました。改めてファンの熱量の高さを本当に肌で感じましたし、その中で商品を好意的に受け止めて情報発信までしていただいたので、広告に触れた方に留まらないものになったと思いました。
◆全指標で驚きのリフトアップ 番組を見た77%が「飲みたい」
―広告効果として数値で出たものは具体的にどんなものがありましたか。
山田氏:ABEMAは、いわゆる認知メディアとしてご活用いただくケースが非常に多いですが認知度、特徴理解度、好感度、興味・関心度、検索意向、飲用意向という調査項目の全てで25%以上もリフトアップしていました。イレギュラーだなと思ったのが「飲用意向」が33ポイントも上がっていたことです。番組を見た方の77%が「飲みたい」と思ったことは、この企画のすごさを感じたところです。

宇田氏:各種調査も見ていますが、いきなり飲用意向を上げようとすると購買に近い施策になってしまい、ボリューム感というか“面”が小さくなりがちな難しさがあります。今回のように(面が)広い取り組みながらコアに刺して飲用意向が上がるのはめったにないので、これまでいろいろな施策を見てきたからこそ、レビューを見て「すごいな」と感じました。
―「飲みたい気持ちにさせる」という施策を何パターンも試されてきた中で、改めて今回の施策がよかった点はどこでしょうか。
宇田氏:飲んだ時のリアルな感想を、自分の言葉で語っていただけたことだと思います。生放送だったことも、リアル感をしっかりと補強した要素でした。インフルエンサー施策が非常にたくさん出回る中で、本当に信頼できる人の言葉だから「自分も飲んでみたい」となったと思います。今ではコンビニやスーパーマーケットでもスティックコーヒーを陳列いただくお店が増えているので、施策を通して「飲んでみたい」という思いが湧いた時にお店に行って探すとか、1回は買ってみようという行動変容が生まれる状態まで、強い印象を視聴者の皆さんの心に残せたのがすごくうれしかったです。

伊賀氏:自分の好きなコンテンツで、自分の推しが熱意を持って話してくれることも、ファンにとっては印象に残る一つなのかなと思います。ポジティブな気持ちで商品の存在を知ることにもなるし、そもそも知っていた人もさらに「こんなフレーバーもあるんだ」という新たな気づきに繋がるのかなと思いました。
山田氏:最近の広告は日常に溢れすぎて、嫌悪感を抱かれがちでもあります。今回の企画は視聴者にとっても“普通に面白い”ものになれたのではと思います。広告だけど、見た人に広告とは思われない自然な体験がベストマッチしていた感覚があるので、御社の商品の素晴らしさもそうですし、そこに合わせた企画でもあったし、ファンダムマーケティングも合わせて三方全て揃って、ここまでのリフトが実現したと個人的に思っています。
◆ブランド戦略における「人気ジャンル」とのタイアップ価値とは
―「声優」以外にもファンの熱量の高いジャンルがABEMAには複数ありますが、今後の施策について考えていることはありますか。
宇田氏:今回は「声優と夜あそび」と「ブレンディ®カフェラトリー®」がベストマッチしましたが、弊社内では多数のブランドのコミュニケーション設計も進めています。今後もターゲットとコンテンツがしっかりベストマッチするようなご提案をいただきながら、好事例を活かして今後につなげたいと思います。「人気ジャンル」というのは大きなポイントだと思っていて、しっかり視聴者がついていてお客様がファンとして熱量高く視聴されている点は、企業側が選ぶ上ですごく大事です。
山田氏:ABEMAとして、いろいろなファンダムマーケティングを意識してコミュニケーションを取らせていただいています。味の素AGF様の商品は、私も幼少期の頃から知っているブランドでもあるので、幼少期の人々にしっかり刷り込むためにはどういうコミュニケーションをしていくべきなのか、1つ挑戦したい領域だなと思っています。今すぐ購買層につながるだけではなく、そこから派生していろいろな方々に波及する施策やジャンルをご用意しているので、ぜひご一緒したいなと思います。
―ありがとうございました。

◆宇田和紗
味の素AGF株式会社 ファンマーケティング推進部 ブランドコミュニケーショングループ 主任
2017年より「ブレンディ®」などブランドマネジメントを経験。2022年より「ブレンディ®カフェラトリー®」の商品開発、ブランド担当を経て、現在のブランドコミュニケーショングループで幅広く広告コミュニケーション設計、戦略立案にかかわる。
◆伊賀梨穂子
味の素AGF株式会社 コンシューマービジネス部 スティックグループ 主任
2018年より輸出ビジネスの営業担当を経験後、2023年より「ブレンディ®カフェラトリー®」の商品開発、ブランド担当に従事。事業計画立案、管理および商品開発・マーケティングにかかわる。
◆山田莉子
株式会社AbemaTV ビジネスディベロップメント本部 マネージャー
2023年4月 サイバーエージェント新卒入社。Abema TV ビジネスディベロップメント本部 営業局に出向。2024年4月 サイバーエージェント全社表彰にて、最優秀新人賞を受賞。現在は、「ABEMA」のセールス部門にて大手企業を中心とした動画広告のアカウントプランナー兼マネージャーを務める。
「ABEMA」はテレビのイノベーションを目指し"新しい未来のテレビ"として展開する動画配信事業。
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