「理系を学びたい」と考える女性に向けて、支援の動きが活発化している。最近では、フリマアプリ大手メルカリの創業者でCEOの山田進太郎さんが、ジェンダーギャップの解消などを目指す財団を個人で設立。その施策の第一弾として、高校の理数科などに入学する予定の女子中学生100人に対して国公立で年25万円、私立で年50万円を給付する返済不要な奨学金を始めると発表した。
【映像】「今や過去ではなく“この先”を見れば、女子大の工学部はやっていける」(初代工学部長就任予定の藤田教授)
そんな中、日本で2つしかない国立の女子大学のひとつである奈良女子大学が、来年4月の工学部開設を発表。全国の女子大で、工学部が設置されるのは史上初となる。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、初代工学部長に就任予定の藤田盟児(めいじ)教授を取材。工学部を新設した背景について、藤田教授は「社会の状況の変化に適応した」と話す。
「奈良女子大学の役割は女性が社会で活躍できる場を広げる。そのために設置された大学です。社会の状況をみて、今工学部を設置して、工学の世界に女性の活躍する場を広げることは我々の使命だと。新しいモノづくり、サービスづくりが必要という状況で、そこに女性が参加していないのはおかしいというのが工学部設立の背景です」(藤田教授・以下同)
文科省の学校基本調査(2020年度)によると、全国の国公私立すべてに設置された工学部に在籍する学生はおよそ19万人。そのうち女性は2万人程度で、女性が占める割合は12.2%にとどまっている。
工学部を新設するかどうか話し合う段階で、学内でも「志望者は少ないのでは」という意見が多かったと話す藤田教授。しかし、未来を見据えて、工学部の開設に踏み切った。
「女性の比率が少ないといっても、10年前に比べたら増えています。女性がエンジニアリングの世界に進出していく傾向が増大しているので、今や過去を見るのではなく、この先を見れば、女子大の工学部は十分やっていける」
奈良女子大学の工学部で学べるものは、4つの分野に分かれている。医学と工学の領域を融合した「生体医工学エリア」、プログラミングや電子デバイスを扱う技術などを学ぶ「情報エリア」、生活環境などをより快適なものに改善するデザイン手法などを学ぶ「人間環境エリア」、分子レベルで工業製品の基盤になる材料を研究する「材料工学エリア」だ。この中からどれか1つを選ばなくてはいけないわけではなく、学生自身が自分の関心や将来設計に合わせ、学ぶ比率を決めていく。
藤田教授によると、実際に工学部の総合選抜には、予想以上の応募が集まったという。
「分野複合で学んで、複合的な背景を持った学生が社会に出て、今までにないモノやサービスを作り出してくれる。そういうことを期待して、このカリキュラムになっています。奈良女子大学の工学部で学んだ女性が、女性の目線を活かした技術を用いて、社会をより良くしていく」。私も育児に参加した経験がありますが、モノづくりやサービスづくりにおいて、女性が十分に活躍できるような状態にすることが、社会にとっても産業界にとっても、今までになかったものやサービスが供給される、良い状態を生み出してくれると考えています」 (『ABEMAヒルズ』より)
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